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音声収録におけるゲームプランナーのお仕事のお話

運よく音声収録に立ち会うことができたので、ゲームプランナーとして収録現場ではどういう仕事をするのかを書いていきます。
※会社さんやプロジェクト、立場によっては仕事内容が違うかもしません!!

・収録スケジュールは突如決まる

音声収録は、収録するもの(シナリオ、システムボイスなど)が完成したあとに始まります。(そりゃそうだ!!)※たまに例外がありますが今回は割愛

だいたい、○月から○月くらいの間でやります、とプロジェクトの最初の方でざっくりと決まっていますが、声優さんによっては例外もあります。
超多忙な方などは、本当にギリギリ(マスター数日前)まで収録できずヒヤヒヤすることも。

スケジュール自体は、収録日が決まった方からガンガン録っていきます。
朝から晩まで一日中スタジオにいることもあれば、1時間だけの場合も。
また、○○さんのスケジュール取れました。二日後に収録します、など急に決まったりもします。(会議や打ち合わせなどと被ったりすることも)
収録がいったん始まるとものすごい勢いで毎日が過ぎていきます!

・立ち会うまでの準備

収録日までに、必要な資料があれば準備していきます。
実際に開発機を持っていき、声優さんに触ってもらい、雰囲気や感覚を掴んでいただくこともあれば、ノートPCやタブレットなどに動画を入れて、それをお見せするパターンも。
紙の資料が間に合ってなければ、印刷して持っていったりなども。

・スタジオ入り

スタジオに入ったら、まずは音響監督さん(以降、音監さん)とサウンドエンジニアさんがいらっしゃるので、ご挨拶。
声優さんやマネージャーさん、クライアント会社のプロデューサーがいらっしゃった場合も、こちらも同様にご挨拶をします。
声優さんの準備ができたら、ゲームの説明をしたり、注意事項があれば前もってお伝えすることもあります。
※ゲームの説明は、プロデューサーさんが行うことが多いです。というか自分はこれ、やったことないです。

・収録開始

基本的に収録はプロデューサーさんや音監さんと相談しながら、進めていきます。

流れとしては以下。

1:諸々の確認用に、声優さんに台本何ページかをしゃべっていただく
2:読み終わったあとにいろいろと調整があれば、調整する
3:調整が完了次第、正式に収録スタート
4:○ページまで流れで録っていく
5:○ページまで読み終わったら、気になった点を伝える
6:録りなおし、問題なければ次へ

4~6の流れを繰り返しながら収録は進んで行きます。
この時、注意する箇所は以下です。

・用語の読みやアクセントは合っているか
・台本と差異はないか
・尺はあっているか
・想定していたニュアンスとあっているか

・用語の読みやアクセントは合っているか
ゲームには専門用語や技名など、黄昏と書いてラグナロクと読む、といった特殊な読みをするものが多々あります。
大抵は読みを振っていたりしますがマレにないこともあり、声優さんがそのまま読んでしまうこともあります。そのさいは、すいません…!○○と読みます!とお伝えします。

アクセントも同様で、シナリオ中の造語やキャラ名は辞書にはありません。
よって、冒頭の音が強いのか、真ん中の音が強いのか、最後の音が強いのか、それとも平板なのかなどあります。この辺はライターさんから来たものを、そのままお伝えする形となりますが、物によっては現場でその場で決めることもあります。

・台本と差異はないか
台本で以下のセリフが書いてあったとします。

「子どもの頃からずっと一緒だったのに…! どうしてオレたちを裏切ったんだよ!?」

もし、声優さんが以下のように読んだ場合、
「子どもの頃からずっと一緒だったのに…! どうして裏切ったんだよ!?」
『オレたちが』が抜けています。

これはわかりやすいケースですが、セリフによっては「なのだから」を「なんだから」と読んだり、一文字だけ抜けたりなどが起きたりします。

すべてのセリフを聞きながら、台本を照らし合わせていきます。
文字が抜けても、ものによってはOKとなるものがあったり、誰かの提案によってセリフが少し変わることもあります。
それらはすべて記録し、収録が終わり次第チームへと持ち帰り、資料を更新したり影響のあるメンバーへと連絡します。

ほか戦闘ボイスなど、どうしてもすぐに確認できないようなものがある場合は、安全策をとってパターンを貰うこともあります。
そのときボイスのファイル名を、サウンドエンジニアさんにお伝えします。
※事前にファイル名のルールを決めておかなくてはならない

・尺はあっているか
戦闘で魔法や必殺技などが絡んでくると、尺が重要になってきます。
尺が3秒しかないのに倍の尺をかけたボイスが流れては、合いません。
この場合、事前に台本に尺を書いたり、巻きで、など短い尺に収めていただくこともあります。

・想定していたニュアンスとあっているか
たとえば、コミカルに見せたいシーンだったけれど、演技がシリアス寄りだった場合、コミカルに見せたいのでその方向でお願いします、と要望をお伝えします。
※事前にこのシーンはこう、と把握していなくてはいけない

ざっくりとですが、こんな感じで進んで行きます。

・最後に

現場にいる方は声優さんも音監さんも人間です。
人間、うっかりミスすることもありますが、セリフ抜けだけは起こしてはいけません。
いちセリフでも抜ければ、大変なことになります。

そのセリフを収録するためだけに、関係者のスケジュールを抑えたり、スタジオの予約など決して安くない金額と人員が動きます。
それらが発生しないよう、現場では細心の注意を払います。
かなり集中力が必要とされるお仕事です。

自分も収録に立ち会い最初は、
うおおお!!! 生声!! 演技すごい!! 来れてよかった!! 最高!
と思っていたときもありましたが、今はできるなら立ち会いたくないです。

とっても疲れますから……。

ただ、これがキッカケで朗読劇にも興味がわいたので、何事も経験ですね。
ブースで聞く生の演技はヤバイです。これが生の演技かとゾクゾクしますし、同時にキャラに声がつくことによってだんだんとキャラが鮮明になっていくのは、ワクワクします。

あと夢を砕くようですが基本、声優さんとお話はできません。
(当たり前ですがお仕事なので握手もサインも、求めることはできません)
たまにフランクな声優さんがいて、休憩時に話しかけてくださるときもありますがマレです。
休憩時はみんな休みたいのです。


応援されると生きる気力がわいてきます! もう少しがんばります!!