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ゲームシナリオは制約の中で書くお話
ゲームプランナーの採用面接にも同席する元同僚から、ゲームシナリオを書きたいというゲームプランナーが結構いると聞いたので、今回はこんなことに気を付けながら作ってるよ(ゲームプランナー視点)、というお話です。
・書き手はなにしてる人?
ひょんなことからゲームシナリオを書くことになった、ただのゲームプランナーです。
(詳しくはこちらをご覧ください)
ゲームシナリオのことばかり書いていますが、シナリオ書いてない時は仕様やリストなんかも作っている人です。※バトルは専門外
・ゲームシナリオは自由に書けない
入社してすぐにひとりでオリジナルを書かせてもらえるなんてのは、基本的にはなく、大抵はメイン以外のテキストを作成することになると思います。
1:コンシューマの場合
RPGなら、NPCの会話テキスト、あらすじ、アイテムや装備品の説明文、戦闘ボイス、通禁テキストなど。
ADVなら、よくてサブイベント。他システムボイス。
2:ソシャゲの場合
システムボイスがあるものなら、システムボイス。(時間帯で変わるものとか、タッチしたときに表示されるセリフなど)
メインシナリオに絡まない、期間限定イベントや、ログイン時のほんの数セリフなど。
上記、どちらの場合も、基本的にある程度方向性が決まっている状態でのお仕事となることが多いでしょう。
こちらのnoteで書いたように発展が求められます。
ちなみに、サブイベントを任されたとしてもメインヒロインの話はもうあるから他のキャラで作ってと言われたり、このキャラを使わないで、や、この場所にイベントがないからここで起きるシナリオ作って、など様々な条件がついてくることもあります。(一行だけのネタを書いたメモだけ渡されて、これ書いてなんてのも…)
ソシャゲの場合は、今回のガチャではこのキャラが出るからこのキャラを中心に、このキャラたちだけを使った話を、今月は○○だからこの季節イベントをnKB以内で、コラボするからコラボのお話を書いて、などあるでしょう。
こうして書いていくと『自由に書かせてもらえる』ということはほとんどありません。
あるのは『与えられたもの(条件)の中で書く』です。
(むしろ自由に書かせてくれるのって、有名シナリオライターを押していくようなものくらいじゃないのかな…。それでも制約はありそうですが…!!)
中には、無口でほとんどしゃべらないキャラや、数セリフしかない…というキャラもいるかもしれません。そんなキャラでも、書かなければいけません。
サブイベントなら、無口キャラの意外性を見せるのか、それとも無口キャラを際立たせるような話にするのか。
戦闘ボイスならば、このキャラならなんて言いながら攻撃するのだろうか、どんなふうに詠唱するのだろうか、システムボイスなら……と、自分が作った話(キャラ)でないものを、とことん掘り下げていく必要があります。
・ゲームシナリオ仕様って?
ゲームシナリオを書く上で切り離せないのが、ゲームシナリオ仕様です。
ざっくり必要な要素は以下です。※ジャンルやプロジェクトによっても変わります
・お話の流れ:フロー
・容量
・発言者名は最大何文字か
・一行に表示させられる文字数は何文字か、行数はどれくらいか
・選択肢がある場合は、最大何文字か、最大選択肢数はいくつか
・ワード数の制限の有無
・書き方
・納品形式
・ファイル名
・FIXまでの流れ:フロー
・お話の流れ:フロー
どんなふうに話が進んで行くのか。
ADVなら、プロローグがあって途中まで共通シナリオ、好感度によってキャラルートに分岐、ソシャゲならイベントの終わりに必ず戦闘を入れるのか、などです。
・容量(物量)
キャラものなら、1キャラあたりnKBや、RPGならメインシナリオnKBなど、
サブイベントは各キャラ10本や1章につき3つ、など。
・発言者名は最大何文字か
発言者名のUIがテキストウィンドウ内に表示されるものなら、そこまで気にしなくてもいいのかもしれませんが、発言者名が独立したデザインならば最大何文字かを記載します。
文字数が少ない場合は、発言者名に少しの工夫が必要になります。
キャラ名をフルネームで記載するのか、それとも下の名前だけなのか、モブの名称にも関わってくるところです。(おじさん、おじさんA、木こりのおじさん、うわさの人物?、おねえさんとおばあさん、二人など)
・一行に表示させられる文字数は何文字か、行数はどれくらいか
20文字*3行など、画面の仕様に合わせて記載します。
長いセリフの場合、ボイスの兼ね合いもあり、いい感じに切っていく必要があります。
■サンプル
桃太郎のセリフ
「やっと、ここまできた……。……思えば長い道のりだった。あのとき、おじいさんとおばあさんに拾われなかったら、きっとオレはここにいない。下手したら、桃の中で死んでたかもしれない。イヌ、サル、キジ。鬼退治に賛同してくれてありがとう」
これを20文字3行のセリフに落としこむ場合、文字数いっぱいまで書いてしまうのか、それとも決定ボタンを何度も押すことにはなるけれど、読みやすいように改行をつけるかなどの判断が必要になります。
■イメージ画像
■可読性とボイス収録を意識して改行調整した場合
・選択肢がある場合は、最大何文字か、最大選択肢数はいくつか
最大14文字、選択肢の最大は3つなど記載します。
これも、いい感じに選択肢内にテキストが収まるように調整しなくてはいけません。
■イメージ画像
・ワード数の制限の有無
プロジェクトの予算次第では、フルボイスで!というのは難しく、収録は何ワードまで、という指定があるかもしれません。そのときは記載します。
○○のキャラは○○ワード以内に収めてください、など。
・書き方
書き方もなにか指定があれば記載します。
・納品形式
.txtや.docなのか。
会社さんによっては、エクセルでってのもあるらしいです。
・ファイル名
ライターさんが各々自由につけると管理が大変なため、指定することもあります。プロローグなら、0章なのでmain00_xxxx_00.txtや、キャラシナリオでキャラ番号が決まっていたら、冒頭にキャラナンバーを入れたりなど。
・FIXまでの流れ:フロー
複数の会社さんが関わるようなプロジェクトの場合、どういうふうにチェックするのか、を記載することもあります。
・自身の引き出しが求められる
ソシャゲをやっていたとき、テキスト関連はほぼひとりで一年半近くやっていました。イベントシナリオだけではなく、システムボイス、キャラの説明なども書いていました。シリーズものだったので、全タイトル確認、把握をしながらやっていましたが、それぞれとてもに大変でした。
・イベントシナリオ
登場キャラがすべてメインキャラとは限りません。
季節ものなどは、ネタが被ることも。
自分が関わった頃は、スマホとガラケーユーザーが半々といった時代だったため、端末の制約などがあり、1イベント10~15セリフでシナリオを作成なんてのもありました。(今はいい時代…!!)
・システムボイス
1キャラあたり、40~50種類くらいのセリフがありました。
基本的にテンプレ(発生条件記載されてる)があり、それに対してセリフを入れていきます。
・キャラの説明
このキャラは何に出てて、どんな性格で、どんなことをしてきたのか、などを指定された文字数以内で記載します。
これらは数キャラだけ、短い期間で、複数人で作業ならまだいいのですが、何十キャラ、何イベントとひとりで書いていると、これでもかというくらい自身の引き出しを求められます。
ユーザーがキャラ絵をタップしたときのセリフをランダムにしたいから3種類ずつ用意、となった日にはバリエーションが必要ですし、戦闘ボイスともなれば汎用の攻撃セリフだけでも10種などザラです。
自分はゲームシナリオライターではないので専門の方の仕事はわかりませんが、ゲームプランナーとしてシナリオをやりたい場合は、上記に書いたような仕事もやることがあります。
楽しみながらやるのか、それともやりたい仕事じゃないと渋々やるのかは自由ですが、書いたものから『それ』が伝わることもあるので注意です。
・学生と新人に伝えたいこと
・やりたい仕事をすぐにできるとは限りません。まずはどんな仕事でも経験値を稼ぐ、実績を残すと考えながらガンガン吸収していってほしいです。メインが書けなくてもシナリオに携わるのであれば、プロの文章が目の前にある状況になるでしょう。手を伸ばせば届く距離です。どんどん参考にしていってください。
・ひとりでやっていると行き詰まったりもするでしょう。そんなときは、周りに声をかけ一緒に考えてもらったり、意見などを聞くと新しい世界が広がるかもしれません。
ひとりで抱え込むと詰むので、声をあげるのは早めに!!
応援されると生きる気力がわいてきます! もう少しがんばります!!