同期の門出
私は去年の 6 月から 某 web 系で インターンをしている。
採用されたのは私を含めて 5 人だった。
皆強烈な人格を有していて、そして何より優秀だった。
その中でも、一際異彩を放つ存在がいた。
彼とは、インターンの採用面接のときから一緒だったが、それはそれは受け答えが有能そのもので、正直な感想を申し上げると
『こいつ有能すぎて、俺落ちたやん...』
である。(なぜか採用された。ありがとう社長 ! )
web 系のインターンというものは非常に心のエネルギーを削られる。
理由は自分よりも若くて優秀な存在を目の当たりにするからだ。
受験の世界に長いこと身を置いていた私は、敗北を味わい続けるのは堪えるものだ。
確かに昨日よりも今日、今日よりも明日
確実に成長しているのは実感できるが
周りの同期はそれ以上のスピードで
私の知らないうちに成長していた。
私の プログラマ としての才能は普通らしい。(これは大いにありがたい)
けれど同期たちは少ない時間で
着実な成果を出しているのを見ると焦ったりするものである。
一際優秀な彼とはプロジェクトが違ったため
入社して 2 ヶ月経過しても、会話をしたことはほとんどなかった。
どことなく感じ取れる cool なその風貌から非常に寡黙な印象を受けていた。
もくもく会
エンジニア界隈では結構有名だが、ご存知ない人のために説明用のリンクを貼っておく。
私は同期三人で もくもく会を毎週開催した。
その内、それが社員さんに伝わり
なんと休日にも関わらず
会社を開けてくれることになった。
以後ずっと社内で もくもく会を社内で開催している。
そこで、彼と仲良くなった。
実は同郷だったこと、しかも高校も同じだったことを知る。
すごく cool でどことなくスカした感じの印象を受けていたため、もくもく会なんか参加しないと思っていた。
しかし、技術に貪欲な連中というのは
我々の想像の範疇には収まりきらない。
土日とか private の時間とかそんなことはお構いなしに、ず〜っと最先端を追いかけ回している集団なのである。
こっちは、今使っている技術の習得に必死なのに、こういった連中は、次にくるであろう技術をもう使い始めている。
根本から違う気がした。
プログラマ の意外な素顔
これは、プログラマあるあるだと思っているのだが、実は話してみると
ものすごくいい人だったりする ということが非常に多い。
プログラマというのは、高度な専門職であり
その職種の特性から物事を直接的に言ってしまいがちな人種が多い。
彼らに共通しているのは決して悪気があるわけではない。
単なる事実を並べているだけにすぎない。
しかし、これはあまり一般受けはしないと思っていて、敬遠されるのもまた事実である。
人間は、直接的に間違いを指摘されるのを嫌がるからだ。
(人格が否定されていると思ってしまう。)
話を戻す。
実際にもくもく会にて、彼と関わるうちに
とんでもなくユーモアがあり
大胆な人間であることや
好奇心旺盛で行動力に振り切っていること( ガンガンいこうぜ型 )
非常に人間味があること(寡黙とはいったい...)
酒を飲むと顔を真っ赤にすること(アルデヒドの分解能力がその顔に見合わず低いのは驚き)
などなど、思いもしなかったことが判明した。
驚きの連続である。
そしてなりよりも いいやつ であった。
いいやつ というの本当に少ない。
この定義は難しいのだが
私なりにこれを定義すると
見返りを求めず、他人に何かを与えること
だと思っている。
他人に何かを与えるという行為は、簡単にできるものではない。
もしこれができるのならば
あなたは紛れもない いいやつ である。
人はその実、自分の行いに対して何かしらの見返りを必ず求める生き物である。
何かの見返りを求めて、おためごかしの親切を図る人間はごまんといて、そういう人間を見るたびに辟易してしまう。
しかし、私は彼にそれを感じなかった。
本当の強者に出会った。
自分よりも一回りも年下の彼は、そんなことには何の興味も示さない。
ただひたすら、遠い未来を見つめていた。
彼は尽きることのない知的欲求のために進み続けるのである。
夢の置き場
目標を持った人間はとても魅力的だ。
多くの人には目標があるだろう。
だが、目標を持ち続けるのは容易ではない。
人はやすきに流れてしまうからである。
無論、それは悪いことでも何でもなくごく自然なことである。
私も例に漏れずそういう人間である。
何でもかんでも飽きたらやめる人間だ。
しかし、飽くなき探究心をもった仲間と一緒にいると、彼らが見ているその先をどうしても見てしまいたくなる。
私はこういった人間のことを
戦闘民族と呼んでいる。
たくさんの職場を経験したが、戦闘民族はごく少数であった。
また、戦闘民族であっても、不遇な環境に追い込まれている友人や先輩も少なくなかった。
今この環境にいる戦闘民族達は、来る日も来る日も自己研鑽を絶やさない。
いや自己研鑽とすら思っていないのだろう。
誰かに命令されてるわけじゃない。
ただ自分の欲求に従っているだけ。
彼らを見てふと、子供体力 というものを思い出した。
彼らは子供なのだ。
ただ夢中で、楽しんでいるだけ。
その他大勢と唯一異なる性質。
それを彼らは持っているのだろう。
北へ
楽しい時間というのはあっという間である。
まるでお祭りのようだ。
もう春である。
彼のインターンは予定通り終わりを告げた。
最後まで、ユーモアを貫き通し爽やかに去っていった。
数え切れないほどの影響を周囲に与え
春からは 新天地 でまた夢を追いかけるのだろう。
いつの日かもし、彼と仕事をする機会が訪れるのであれば
私は彼の知らない世界でエキスパートになって
『お ? 』 っと言わしてみたいものである。
心から感謝する。
ありがとう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
与えられてばっかりですが、これから頑張って与える側になれるように頑張ろうと思って書いた次第です。
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