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第一話:はじまってすぐまたホテルの話(茹だる残暑の京都街歩き)

9月の最初の週末に京都へ帰省した。用事は特になかったのだが、コロナ禍の影響もあって、年末年始に帰省して以来一度も帰っていたなかったので、久しぶりに帰っておこう、という気持ちになったのだ。

特に用事がなかったとはいえ、行きたい場所がいくつかあったので、土曜日は昼からずっと街歩きをしていた。その日は最高気温36.6℃の猛暑日。茹だるような暑さの中で、ふわふわと街歩きしていると現実と過去と未来といろんなものが綯交ぜになりながら思考が巡るので、今回は、その思考を文字に起こしておきたい。

いつものパターンではあるが語彙力がないのに喋りたいことがたくさんあって、1回の街歩きだけで下手すると10回分くらいの文章を書けてしまうと思う。ちなみに仕事柄、どうしても大手デベの建物やホテルの話が多くなる予定なのであしからず。

ルートはこんな感じ。ホントは実家スタート・実家ゴールであり、この地図内に私の実家もある。東京へ出てきて最近染み染みと感じることであるが、本当に京都のど真ん中で育ってきたなと思う。

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今回は架空の設定として、朝9時に東京駅を出て、11時15分に京都駅に着いたとして、そこから話を進めていこう。まず京都駅についたら、地下鉄烏丸線で丸太町へ向かう。乗り換えがスムーズにいったらものの10分弱で丸太町駅へ着く。京都の街中は意外と狭い。

まずは昼ご飯のために「麺屋 高倉二条」(③)に向かう。

丸太町駅の改札から地上に上がり、まずチェックしたのは、元商工会議所のあった敷地(①)。今はホテルの新築中。ハイアットプレイスという、外資系ホテルブランドが入ることが決まっている。関電不動産が開発、福岡地所の子会社であるエフ・ジェイ・ホテルズがホテル運営を行う予定だ。

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今は元の建物が取り壊され、まさに新築工事が始まったところのようだ。ちなみに商工会議所の北には、ラグビーボールのようなオブジェが印象的な金光教の教会も建っていたが、そちらも合わせて取り壊されている。

京都は、2010年台中盤からインバウンドが急増し、近年では街を歩けば外国人だらけ。それに比べてホテルは少なく、交通網や観光客を受け入れる街の体勢が整っていないこともあって、「観光公害」という言葉まで出てくるほどの状態になった。

2010年台は「ホテルを建てれば儲かる」状態であったため、関西私鉄や大林・積水といった関西にある程度軸足を置く企業だけでなく、がっつり東京資本の大企業、別の地方都市のデベロッパー、海外のファンド、あらゆる不動産開発系プレイヤーにより京都にはたくさんのホテル計画がつくられていった。

どんなホテルが多いかというと、京都は観光地でありビジネスの街ではないため、レジャー客向けのホテル計画が多い。複数人で泊まれる部屋を主体としたものが多く、安かろう悪かろうではなく少しリッチで見栄えのするホテル、京都らしいデザインでインバウンド受けが狙えるホテル、、、そういったものが、ここ数年で何十軒開業しており、向こう数年で何十軒開業する予定なのだ。

そんななかで今回の新型コロナの流行により、インバウンド客が街から消えた。今はGoTo効果もあって一部の高級ホテルや旅館は普段より予約が取りづらいくらいのところもあるらしい。数年後にはインバウンド客も戻ってくるだろうとも思う。しかし本当の先行きはよくわからない。

でも作り始めたものはどうしようもない、建設が着工してしまえば、立ち止まって考えることすら、基本的には許されない、というのが不動産開発業の宿命だ。

このハイアットプレイスもそんな宿命のなか、着々と建設が進む。今京都ではこんな建設中のホテルがそこかしこで見られるが、どんな未来を辿るのか。暑さでぼんやりした頭では想像力も働かないので、ひとまず次へ向かう。

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