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サイドビジネス、街づくり、ホテル(ホテルに泊まって思考ドライブ ①:DDDホテル)

昨日、新シリーズとして記事にした「東京のホテル宿泊記録」はホテルのデザインに焦点を当てたレビューで、ブログとしてはいわばA面である。当然自分のフィルターを通してであるが、そのホテルの良いところ悪いところをフラットに書いて、自分の頭の整理をして、読んでくれる人に届けたい、という趣旨がある。

対してこちらはB面。運営やまちづくり、ホテル経営などに思いを馳せながら、自分語りメインで徒然ない文章を書いていく予定だ。多分に私の主観が入ると思うし、紹介ホテルの本筋と関係ない話も結構挟まると思うがご容赦願いたい。ちなみに「思考ドライブ」というワードは度々noteの記事でも使ってきた私の造語であって、いろいろ思いを巡らせる「逡巡」に近い。とにかくいろんなことをグダグダ考えるのが好きなのだが、そういう状態は思考がまるでドライブ(グルグル動き回っている)ような感覚に陥るので、このワードを使っている。


さて、本題に入ろう。

ホテルというのは、一般的には旅行者・宿泊者のための施設だといえるが、街の大きなホテルであれば宴会場がついていたり結婚式場があったり人生のハレの舞台として利用されることも多い。いずれにせよ、年間のほとんどを旅をしているバックパッカーや仕事の都合で頻繁に出張するビジネスマンを除けば、ホテルとは特別な場所である。

一方で、その街に住んでいる人からすると自分たちは普段利用の機会がないにせよ「普段からそこにある施設」でもある。この非対称性がホテルの面白いところだと思う。

さて、DDDホテルは、そのホテルのすぐ近くに本社を構える「丸太屋」という卸問屋のサイドビジネスで運営されている。

卸問屋というとイメージがわかないが、小さな商社と考えれば物流の一端を担いながら、その街に根ざして(土地も持っているだろうから)ビジネスの幅を広げるなんでも屋になれる。創業者の2代目、3代目は「ボンボン」と言われることが多いけども、しっかり学を積んで、外の世界で修行を積んで、先代の古いやり方を改めたり、芯の思想を受け継ぎながら、新規事業に取り組んだりエネルギッシュな人が多いイメージもある。

実際に丸太屋の4代目の方のインタビューの記事がこちらにあがっているが、パトロン的な思想を持ちながら、このホテルの他に、クリエイターと協同し、ファッション業やシェアオフィス運営などをマルチに活動をされているようだ。

そんな地元に根ざした会社が運営するホテルでは、先ほどの旅行者と地域住人のホテルに対する非対称性=意識の違いが活かされることになる。先日ブログでは1階はギャラリーと実験的なキッチン空間、ということについて触れたが、こんな機能を盛り込めるのはオーナー企業としての余裕と、街への還元の想いがあるだろう。

2階のカフェバーについても宿泊者専用というわけではなく誰でも普通にカフェ使いができる。2階という場所柄路面に面しておらず、知る人ぞ知るという感じではあるが、むしろそれが穴場感も醸し出しており、一杯450円(だったと思う、、、)でお手軽に本格的なコーヒーが楽しめるなど使い勝手は良い。

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ちなみにここのコーヒー。朝食で出てきた時にはやや薄めで物足りないかな、と思ったのだが、クロワッサンと食べるとめちゃくちゃ相性がよい。進々堂やサブウェイもそうなのだが、どういう仕掛か、パンと合わせると味が化けるコーヒーがあって、奥深い。(アボカドと鴨のオープンサンドも、下のフランスパンがしっかり卵感のあるフレンチトーストで美味しかったですよ!)

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話を街の中のホテルのあり方に戻すが、こういったカフェやギャラリーといった機能を介することで、ホテルというのは旅行者と地域住人という異質な人々が出会う空間となりえるといえる。

ものごとが動き出すのはいつも異質なものが出会うところから始まるのだとすると(専門用語でセレンディピティという)、ホテルという媒体はその出会いの場として格好の場所であるということだ。

それは何も、隣の席に座って知らない人とお喋りをはじめる、なんていう難しいコミュニケーションの話だけではない。異質な人同士が、同じ空間を共有しているというだけで、例えば隣の人の喋り声が聞こえてきたり、読んだり描いたりしているものがちらっと目に入ったり、そういうささいなことも含めてコミュニケーションだとすると、躊躇することなくその場を楽しめると思う。

そういった広い意味での出会いの場を提供するというのは、街に根ざした企業や人の得意な分野であり、コロナ禍で対面コミュニケーションが減る現代だからこそ、その1つのアセット(形態)としてホテルはこれからも進化し続けていくと余地があると考えたりしている。

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