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20070208 スメルキラー(6)

 スメルキラーという消臭器の販売業者が公正取引委員会から排除命令$${^{*1}}$$を受けた。スメルキラーは単なるステンレスの塊だが、これを水に漬けて部屋に置いておくと部屋の臭いがたちどころに消えてしまうと謳っていた。そしてこの効果は水さえ換えれば半永久的に持続するという。

 販売業者のサイトにはその消臭の原理が説明してあるのだが、全くもって意味不明$${^{*2}}$$であり、実証試験結果も不明瞭な点が多かった。そもそもステンレスで臭いの原因となっている物質をエネルギーも使わず分解または吸収できると考えること自体が間違っている。従って消臭効果は殆どないと私は考えていた。ただし「殆ど」というのは、臭いの元となっている物質が水に少しぐらいは溶け込む場合があると思っていたからである。

 スメルキラーの消臭効果の広告文が大袈裟すぎる$${^{*3}}$$と言う理由らしい。公正取引委員会は販売業者にその効果の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めた。業者はそれに対する資料を提出した様だったが、その内容は合理的な根拠を示す物ではないと公正取引委員会は判断したようだ。業者がサイトに掲載している内容$${^{*4}}$$と同じ資料を出していたのであれば、公取委の判断は当然のことであろう。

 公取委のページには排除命令の詳しい内容が掲載$${^{*5}}$$されている。命令を受けた業者はそれをそのまま受けとめたので、広告の内容が誇大だったことを認めたことになる。公取委の命令に不服がある場合は審判請求をする$${^{*6}}$$。この消臭器の場合ならばその場で科学的な根拠が吟味されるのだろう。

 しかし業者は公取委の命令をそのまま受け入れた。公取委のページにはこの命令を下した根拠が何処にも書いていない。公取委が科学的に正しい判断をしているかがページを見ただけでは判らないのである。少なくとも合理的でないと判断した根拠の概略ぐらいは示して欲しい。

*1 排除命令
*2 20021104 スメルキラー
*3 こどものページ 不当表示とは?
*4 20021116 スメルキラー (3)
*5 コラムジャパン株式会社及びジュピターショップチャンネル株式会社に対する排除命令について
*6 独占禁止法違反事件の処理手続き図

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