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20020205 夜爪

 夜中に$${^{*1}}$$を切ったことがない。夜中に爪を切ると親の死に目にあえないという迷信を信じているからである。この迷信は両親から聞いた様な気がする。幼少の頃に言われて以来、夜に爪を切ったことはない。

 夜とは何時からいつまでのことを言うのか。恐らく日没から日の出までのことであろう。夕方に自分の指を見て爪を切ろうと思っても、爪を切っている間に太陽が沈んで夜になったらいけないので、翌日の朝に切ることにする。

 「親の死に目にあえない」の他に「狂人になる」というのもある。何れにしても夜に爪を切るとろくなことがない、とされている。

 由来は何だろう。夜、明かりが足りないところで爪を切ると指先を傷つけやす易くなる。そこから破傷風菌$${^{*2}}$$などが入って、破傷風に罹り、親より早く死んでしまうので、親の死に目にあえなくなると言われたのだろう。破傷風の弓そり反張と呼ばれる全身性痙攣$${^{*3}}$$が狂人に見えたのかも知れない。

 現代は夜中でも十分明かりがあるので、夜中に爪を切っても昼間に爪を切っても指先を傷つける確率は同じである。それでも夜中に爪を切る気にはならない。

*1 第145回『ツメ』5 page
*2 破傷風 Tetanus
*3 IDWR 感染症の話

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