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20021208 フェルマーの大定理

 フェルマーの大定理$${^{*1}}$$というのがある。$${X^n+Y^n=Z^n}$$($${n}$$は$${2}$$より大きい自然数)という方程式は自然数の解$${X}$$、$${Y}$$、$${Z}$$を持たないと言う定理である。

 フェルマー$${^{*2}}$$がこの定理を1630年頃に考え出したのだが、つい最近になってようやくこの定理が正しいことが証明された。フェルマー自身もこの定理の証明を試みたらしいが、書き込みできる余白が少なすぎた$${^{*3}}$$のでその証明を書き留めなかった$${^{*4}}$$、ことになっている。それ以来350年ほどの間$${^{*5}}$$、その定理の証明に成功したと認められた者は出現せず、1994年になってA・ワイルズ$${^{*6}}$$という人が証明した。

 この証明がなされる前は、フェルマーの定理は「$${n}$$が$${4,000,000}$$より小さい時は成り立つ」とか「$${XYZ}$$がどれも$${n}$$で割り切れない時は、$${n}$$が$${8.8 \times 10^{20}}$$より小さいなら成り立つ」ということが分かっていたらしい。

 これを知った時、$${4,000,000}$$とか$${8.8 \times 10^{20}}$$という数字はどこから出てきた数字なのか解らず、不思議だった。

 $${n=3}$$の場合、1770年にオイラー$${^{*7}}$$によって証明された。$${n=4}$$の場合は1659年にフェルマー自身が証明していた。$${n=5}$$の場合、1820年にディリクレ$${^{*8}}$$とルジャンドル$${^{*9}}$$とによって証明されたらしい。$${n=5}$$まで証明するだけでも長い年月と大数学者たちの頭脳を借りなければならなかったのに、どうして急に$${n=4,000,000}$$まで正しいと言うことが判ったのだろうか。

 コンピュータを使って証明するにしても自然数は無限にあるのでいくら計算しても、自然数解$${X}$$、$${Y}$$、$${Z}$$が存在するという反証を見つけることは出来るかも知れないが、「解が存在しない」という証明はいつまで経っても終わらないのではないか、と直感的に考えていた。

 どうも違うようだ。クンマー$${^{*10}}$$という人が自然数nがある条件を満たせば解$${X}$$、$${Y}$$、$${Z}$$は存在しないと言うことを証明した$${^{*11}}$$。自然数$${n}$$がそのある条件を満たすかどうかはある計算をすればいい$${^{*12}}$$らしい。その計算はコンピュータを使えば出来るので、1994年の時点で$${n}$$が$${4,000,000}$$とか$${8.8 \times 10^{20}}$$まで証明されたというのはこの条件が満たされるかどうかを計算した、ということであった。

*1 『第三の理』のホームページ
*2 Fermat, Pierre de (1601-1665) -- from Eric Weisstein's World of Scientific Biography
*3 20000110 四つの4
*4 フェルマー・ワイルズの定理と狭すぎた余白
*5 Timeline of Fermat's Last Theorem
*6 The origins of proof IV: The philosophy of proof
*7 20010806 オイラー
*8 Dirichlet, Johan Peter Gastav Lejeune
*9 Legendre, Adrien-Marie
*10 Kummer, Ernst (1810-1893) -- from Eric Weisstein's World of Scientific Biography
*11 Kummer's proof of Fermat's Last Theorem for regular primes: A modern viewpoint
*12 ■ヒルツェブルフの符号数定理とベルヌーイ数 補足:ベルヌーイ数 正則素数 非正則素数

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