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20061204 メタンハイドレート

 メタンハイドレート$${^{*1}}$$と言う物質がある。メタン分子を含んでいるのでよく燃える$${^{*2}}$$らしい。海底に沢山眠っている$${^{*3}}$$ようで、新しいエネルギー源として注目されている。

 メタンハンドレートの結晶構造は水分子が作る丸いかごの中にメタン分子一つが入った形$${^{*4}}$$になっている。メタン分子の構造$${^{*5}}$$は炭素原子の周りに四つの水素が正四面体の形で結合している。分子の形は、原子核の周りを回っている電子の並び方で決まる$${^{*6}}$$。

 従って正四面体のメタンの周りに水分子が集まるとすれば、正四面体の頂点に位置する水素原子の電子の配置のされ方に依存してくるはずである。そうだとすると四面体の頂点をすこし丸めた感じになりそうな気がする。メタンは炭素と水素とが強固に結ばれることによって形成$${^{*7}}$$されている化合物である。メタンハンドレートはこのような強固な結合による化合物ではなく、メタン分子の周りに水分子が集まってできている化合物である。メタンと水とが、メタン分子の炭素原子と水素原子とのような結合ではなく、メタン分子の水素と水分子の酸素とが引き合うようなゆるい結合$${^{*8}}$$が生じているのではないか。となるとメタン分子の正四面体の頂点にまず水分子が配置され、あとは何らかの規則に従って四面体の面の部分を水分子が埋めるので、結局は四面体のぼやけた形になるような気がする。

 ところがメタンハイドレートのメタン分子は正十二面体に近い水分子のかごに入っている$${^{*9}}$$らしい。メタン分子の正四面体$${^{*10}}$$はあまり関係ないようだ。中に入る気体分子の形に関係なく、水分子は気体分子を取り込むと正十二面体のような形を作る$${^{*11}}$$ようだ。全く関係がない訳ではなく、水分子のかごの中に入る気体分子の大きさ$${^{*12}}$$によって結晶の構造が変化$${^{*13}}$$するらしい。

 水が気体分子を取り込む極微小なかごを作るのは何やら不思議な感じがしていたが、水の結晶である氷の結晶構造をながめていると$${^{*14}}$$格子の間に余分な気体分子が入り込めばハイドレートのような結晶になっても何ら不思議ではなくなってきた。

*1 メタンハイドレートとは
*2 Methane Gas Hydrate
*3 海底から上昇するメタンハイドレートの気泡を発見、撮影に成功:東京大学/海洋研究開発機構ほか:トピックス:つくばサイエンスニュース
*4 ?を!に...>解説集>>メタンハイドレート
*5 目で見て操作する「分子の世界」?そのミクロ構造と物性? 分子の構造
*6 3.1 電子が決める分子のかたち
*7 2.8 水素分子の共有結合
*8 【5分でわかる】水素結合とは?フッ化水素、水、アンモニアの強さと沸点の順番が違う理由まで
*9 ?を!に...>エネルギー教室>メタンハイドレートの結晶構造II型
*10 kepler.jpg
*11 Clathrate Hydrate Structure
*12 Institute of Petroleum Engineering - Heriot-Watt University: Centre for Gas Hydrate Research: What are Gas Hydrates? structures_large.jpg
*13 Natural Gas Hydrates: Overview
*14 The ice phases of water Hexagonal ice (ice Ih) structure


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