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20000814 虹

 日本語の虹の語源はよく解らない。「にじ」の「に」は赤色の「丹」と言う説が多いが、「じ」の方は諸説あるようだ。西洋の言葉で虹を表す単語は日本語に比べて格段に語源が分かり易くなっている。英語ならrainbow$${^{*1}}$$で雨の弓、ドイツ語でもRegenbogen$${^{*2}}$$で雨の弓、フランス語だとarc-en-ciel$${^{*3}}$$で空の弓形だ。

 漢字の「虹」に虫編が付いているのは中国では虹は龍の一種と考えられていたからである。「虫」というのは生き物全般を表しているので、龍と考えられた虹にも虫編が付いた。「蟲」は元来、古代中国で昆虫を表していた。それが日本では獣や魚や貝を除く小動物を示す意味となった。やがて「蟲」の新字が「虫」になってしまったので、現代の日本で「虫」が動物を表すと言うと違和感を感じるようになったのかもしれない。

 こうしてみると西洋の言葉だと虹の形が丸であることが虹という言葉の基となっているが、日本語や中国語では形を表した言葉が語源となっていることはないようである。

 ところで虹は必ず円形になるのだろうか。虹が円であったり円形の一部で円弧の形になっているのは虹の原因が光の屈折$${^{*4}}$$だからである。空気中の漂う水滴に反射屈折した光$${^{*5}}$$が眼に到達して虹が見える。反射の角度と屈折の角度は必ず一定なので、眼に入ってくる光の軌跡を辿ってその光が反射した点をつなげていくとどうしても円形になる。地球が丸いから虹が丸くなるわけではない。

 虹がかまぼこ型になるのは視点が地面近くにある為で、下半分は地面の陰になって普通は見えない。従って地面がえぐれていているか視点がかなり高い点にあれば全周円の虹が見られるだろう。

 虹が円になる大前提は空気中に浮遊する水滴が球形であることである。もし水滴がラグビーボールのような形をして、皆同じ方向を向いていたら虹は円形にならないと思われる。

 東洋の言葉で虹の語源に形を表す言葉が含まれていないのは虹が場合によっては円にならないことを見越していたのであろうか。

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*2 DLR_next - Warum ist ein Regenbogen bunt?
*3 L'Arc-en-Ciel Official Web Site
*4 虹の成因のシミュレーションと過剰虹について
*5 第46回:虹

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