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20000522 母音

 「母音」という字面から西欧語の母音字はアルファベットの基本のような気がしていた。ところがローマ字の歴史からすると子音字が初めにあって母音は後から創られたらしい。

 ローマ字(ラテン文字)$${^{*1}}$$やロシアの文字(キリル文字)$${^{*2}}$$などはギリシャ文字が基になっている。そしてギリシャ文字$${^{*3}}$$はフェニキア文字が基本$${^{*4}}$$となっているらしい。

 フェニキア文字$${^{*5}}$$を用いるセム語族$${^{*6}}$$は母音が少ないため母音の表記が大抵なされなかったようだ。現代のアラビア語$${^{*7}}$$で使われるフェニキア文字の子孫であるアラビア文字$${^{*8}}$$でも母音そのものを表す文字はない。

 ギリシャ人はフェニキア文字から派生したアラム文字$${^{*9}}$$を借りてギリシャ語を表記していた。丁度、日本人が中国の文字を借りてきて日本語を表記してきた歴史とよく似ている。中国語と日本語は全く違う言語だが、日本は中国から文字を拝借した。アラム語とギリシャ語も同様に全く違う言語であるらしい。
 アラム文字には母音を表す文字がなかったので、アラム語$${^{*10}}$$に比べて母音の種類の多いギリシャ語表記には不都合が多かったらしい。

 そこでギリシャ人はギリシャ語にはない子音を表すアラム文字からギリシャ語の母音を表す文字A、E、O、Y、Iを作ったらしい。

 音を図形で表すのだから文字の形と音とには必然性はないはずだが、他言語の子音字から母音字を作るのは何やら不思議な感じがする。

*1 世界の文字で遊ぼう2 文字名ローマ字(ラテン文字)(イギリス)
*2 世界の文字で遊ぼう10 文字名 キリル(ロシア)文字(ロシア)
*3 世界の文字で遊ぼう11 文字名 ギリシア文字(ギリシア)
*4 アルファベットの歴史(1)
*5 フェニキア文字
*6 セム・ハム語族
*7 アラビア語入門
*8 世界の文字で遊ぼう9 文字名 アラビア文字(エジプト)
*9 アラム文字
*10 アラム語(Aramaic)

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