見出し画像

20010127 フェルメールとブレードランナー

 フェルメール$${^{*1}}$$という画家がいた。17世紀のオランダの画家である。市民生活の室内情景やオランダの都市デルフト$${^{*2}}$$の風景を精妙に描いている。フェルメールが生涯に描いた作品は35点しかないと言われている。その作品は1点か2点ずつ全世界に散らばっているため、一度に多くのフェルメールの作品を観賞することはなかなか難しい。

 絵を鑑賞するのに素人や玄人があるかどうか分からないが、フェルメールの絵は普段絵を見ない人にとっても観賞し甲斐があるのではないだろうか。たまにしか絵を見に行かない私がそう思うのだからある程度は当てはまると思う。

 絵が細かく書いてあって、それをじっと眺めるのが面白い。絵の中に地図$${^{*3}}$$や額に入った絵$${^{*4}}$$が精密に描かれており非常に楽しめる。「ウォーリーを探せ$${^{*5}}$$」のような楽しみ方が出来るかもしれない。
 絵の中の絵、画中画で思い出すのはSF映画「ブレードランナー$${^{*6}}$$」での一場面である。ハリソン・フォード$${^{*7}}$$が扮する主人公デッカードはレプリカントと呼ばれる人造人間のうち有害なものを処理する取締官である。この取締官はブレードランナーと呼ばれている。人間と見分けが殆ど付かないレプリカントを見つけ出し、それを処分する。判別を間違えれば殺人になるし、うかうかしているとレプリカントに殺されるかもしれない。どちらに転んでも危険な渡世人という意味で「刃の上を走る人」と呼ばれると勝手に考えている。

 このブレードランナー$${^{*8}}$$は、レプリカントが潜伏しているホテルである写真を見つける。その写真を持ち帰って家にある画像分析機$${^{*9}}$$で分析する。ある部屋を写した写真をどんどん拡大していくと更にその奥の部屋に何か見えてくるのである。何が出てくるかは映画のビデオやDVDを見ていただくとして、フェルメールの絵はそんな感じの絵なのだ。細かいところまでよく見ると何かが書いてあるような感じなのである。

 フェルメールの絵を見て写真を思い出すのはごく自然なことかもしれない。それはフェルメールはカメラオブスクラ$${^{*10}}$$という道具を使って絵を描いていたからである。カメラオブスクラ$${^{*11}}$$というのは写真機が発明される前の道具$${^{*12}}$$で感光フィルムの代わりにレンズを通して映し出された像に鉛筆や絵の具で絵を描いた。
 レンズを通してフィルムに映し出される像をそのまま絵にしたのだから、フェルメールの絵が写真のように感じるのは当然といえば当然かもしれない。

*1 Vermeer Clickable Map
*2 デルフトの街を歩いてみよう
*3 Officer and a Laughing Girl
*4 The Guitar Player
*5 1/100 ARCHITECTURAL MODEL ACCESSORIES SERIES Special edition "Where's Wally?" - Products | TERADA MOKEI English
*6 Check out the new BLADE RUNNER game by Westwood Studios!
*7 Harrison Ford Web - Latest movie news and photos plus an extensive archive
*8 ブレードランナー・コレクション
*9 Esper Photo Analysis by Ridley Scott from Blade Runner
*10 カメラ・オブスクラ
*11 フェルメールの絵は何故ぼけてるの?
*12 ANALYSIS OF IMAGES 2 - Art theory

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?