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20020420 先延ばし

 私の得意技の一つに「先延ばし$${^{*1}}$$」がある。先延ばしをして損することもあるし、得することもある。しかし今まで先延ばしによって致命的な結果に陥ったことはない。現に私は生きている。先延ばしにしていい案件とそうでない案件とがあるので、それを区別して対処しているからだろう。何れにしても一般民衆が先延ばしをして世間や自分に多大な影響を及ぼすようなことは滅多にない。

 これは私だけではなく、こういう傾向は誰にでもある。どうしても面倒なこと、気の進まないことは先延ばしにしてしまう。これを克服することによって様々な損害を防ぐことが出来る。

 このことを自分に言い聞かせるのは結構苦労するが、これを他人に言い聞かせるのはもっと大変である。他人はそれぞれ自分の価値観や時間尺度を持っているので、これを変えさせて行動させるのは至難の業だ。

 「先延ばし」というのは「期限」というものがあるからそれを先延ばしてしまう。期限を決めなければ「先延ばし」は発生しない。これは根本的な解決法であるが、身も蓋もない解決法である。それではどうすればいいか。

 期限の設定の仕方を工夫すればいいらしい。細かい期限を中間に数回設定すると思った通りの期限に物事が進むようだ。MITの経営学の教授$${^{*2}}$$らがそれを実証する実験を行った$${^{*3}}$$。期限を細かく設定して仕事をさせると、最終的な期限だけを決めて仕事をさせるよりも、よい結果が出た。期限を超過する割合が低くなり、仕事の質も高くなったという。

 結局、普通の人は常に尻を叩かれないと仕事をうまくこなせないのだろうか。そもそも他人から期限を決められて為される仕事そのものは雑用の域を出ない。偉業というものはそれを為した人が自分自身で期限を決めて為された物ばかりの筈だ。他人に期限を決められて為された偉業があるとすれば、それを為した人の業績ではなく、期限を決めた人の業績である。

 「先延ばし」したくなる理由は他人に期限を決められると大した仕事にならない、という思いが浮かんでくるからだろう。

*1 ビジネスルールの宴TOPページ 先延ばしにしない
*2 Dan Ariely Home Page
*3 Procrastination, Deadlines, and Performance: Self-Control by Precommitment

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