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20000519 冷凍光線

 昔、冷凍光線を吐き出す怪獣$${^{*1}}$$がいた。熱光線を出す怪獣に対して考え出された怪獣だろう。相手を破壊する目的であれば冷たかろうが、熱かろうがどっちでもいいのだが、冷凍光線とは一体どんなものが考えられるだろうか。

 例えばこのページ$${^{*2}}$$では冷凍光線は光などの電磁波ではなく冷却スプレーのように物質を照射してそれが気化するときに奪う熱で冷却するのではないか、と考察している。

 温度を持つ物体は赤外線$${^{*3}}$$を放射している。室温付近の物質は赤外線を放射しているが、物質の温度が太陽のように高くなれば可視光線や紫外線を出すようになる。どんな温度の物質でも放射する電磁波に赤外線が多く含まれているので、一般に赤外線が出ているという。
 赤外線を放射するということはエネルギーを放出するということである。エネルギーを放出すればその物体の温度はどんどん下がっていく。逆にまわりに赤外線を放射するものがあり、物体がその赤外線を吸収する事が出来ればエネルギーを取り込むことになるので温度が上がっていく。
 宇宙空間に置かれた物体は周りに光や電磁波を発するものがなければ、その温度は絶対温度零度(-273℃)にどんどん近付いていく。ただし宇宙黒体輻射$${^{*4}}$$があるので完全には絶対零度にはならないようだ。

 つまり光線で相手の温度を一瞬にして変化させるには相手が持っている熱のエネルギー$${^{*5}}$$の出し入れを一瞬にしなければならない。熱線を攻撃相手に照射して無理矢理熱エネルギーを相手に押しつけるのは簡単である。それでは冷凍光線の場合はどうすればいいのだろう。単純に光線を照射すると言うことは相手にエネルギーを与えることなので相手の温度は下がらない。
 負のエネルギーの光線は考えられるか。分子運動が完全に静止した絶対零度以下の温度をどのように考えればいいか皆目見当が付かないが、このようなことを考えればいいのかもしれない。しかし数学の世界の「虚数$${^{*6}}$$」が現実の世界に存在するかどうかを議論するようなもので、無意味であろう。これは虚数を用いて物理現象などを記述$${^{*7}}$$できるということとは別問題である。

 ではどうすれば離れた相手の温度を下げることが出来るか。相手にエネルギーを放出させるにはまず自分自身が低温になればよい。そうすれば相手の温度が少しは下がる。
 しかし目の前に氷の塊があってもそれ程冷たく感じない。一方、焚き火なら暖かく感じる。これから判るように熱エネルギーを奪うことが容易ではない。
 自分が絶対零度まで温度を下げても相手も含めて自分以外の周辺の物質はすべて温度を持っているのでなかなか攻撃相手の温度は下がってくれない。

 結局、冷凍光線は無理であろう。

*1 おなら出ちゃっ太ウェブサイト・怪獣変わり絵カード
*2 絶対零度
*3 温度測定理論
*4 インフレーション理論
*5 川崎火力/発電方式の変遷と仕組み
*6 kyo
*7 1-5: 波動関数の意味

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