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20011031 TRON

 昔、「TRON$${^{*1}}$$」という映画があった。1982年のディズニー映画でコンピュータグラフィックが多用された映画だった。コンピューターの中の出来事を擬人化した物語でコンピューター内部の世界の背景、乗り物の殆どはコンピュータグラフィックで描かれていた。当時のコンピュータグラフィック制作コストが現在のそれよりも遙かに高価であったためか遠景は大抵真っ暗の黒一色$${^{*2}}$$だった。

 登場人物は全て実写で、それぞれの場面はコンピュータグラフィックスとの合成で作られていた。中にはこの場面$${^{*3}}$$のように一見コンピュータで作られているようにみえるが、登場人物の体に描かれた光る線や装置のランプ等は全て実写で撮影してから手作業で色付けをしたものもある。映画の最後に出てくる出演者や制作者など作品に関する字幕で、漢字で書かれた中国人か韓国人らしき名前が数十名出てくる。これらはこの色付け作業に携わった人々らしい。

 音楽はWendy Carlos$${^{*4}}$$で、映画の中で出てくる戦車$${^{*5}}$$や二輪車$${^{*6}}$$などの意匠はSyd Mead$${^{*7}}$$が担当している。

 映画の中では上記の二輪車を使ったゲーム$${^{*8}}$$が登場する。コンピュータの中の住民がその二輪車に乗って決められた領域を3、4台で走り回る。走り回る領域には座標が描かれており二輪車は真っ直ぐ走行するかまたは直角にしか曲がることが出来ない。速度の調整も出来ない。常に一定速度で走り続けなければならない。二輪車が走った後には「光の壁」が形成され、走行中これを避けきれずこれに衝突すると二輪車とそれに乗っていた本人は消滅してしまう。それと同時に消えた二輪車が形成した光の壁も消滅する。最後まで消滅せずに生き残った二輪車がゲームの勝者となる。

 最近、ある雑誌でこのゲームをパソコン上で再現した「ゲーム」があることを知った。GLTron$${^{*9}}$$というゲームである。GLとはOpenGL$${^{*10}}$$のことでSGI$${^{*11}}$$が開発したコンピュータグラフィックスを描画するための仕組み$${^{*12}}$$である。これを使って映画で登場するゲームをパソコンの「ゲーム$${^{*13}}$$」に仕立て上げている。この素晴らしいゲームは只で楽しむことが出来る$${^{*14}}$$。

*1 The Tron Page
*2 http://www.tron-movie.com/tron.jpg
*3 Tron (1982) | Front Row Reviews
*4 CD購入
*5 Tank | Tron Wiki | Fandom
*6 Lightcycle
*7 Welcome to Syd Mead 2001
*8 The unofficial TRON web page - Images
*9 The glTron Homepage
*10 OpenGL - High Performance 2D/3D Graphics
*11 SGI - OpenGL Overview
*12 OpenGL FAQ J
*13 The glTron Screenshots page
*14 The glTron Download page

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