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20050321 車内への危険物持ち込み

 電車やバスなどの公共交通機関に乗ると大抵「危険物の持ち込みは禁止されています」といった車内放送が流される。これを聞いていつも思うのは、危険な物を車両内に持ち込むのは駄目に決まっているではないか、普通の人は危険な物は持ち込もうとは思わないし、敢えて持ち込む人はそんな放送は聞く気などあろう筈がない。

 車内放送の「危険物」というのは「危険な物」という意味ではないことに最近気付いた。危険な物というのは様々な物がある。包丁$${^{*1}}$$でも扱い方によっては「危険な物」であるが、ここでいう「危険物」ではない。

 「危険物$${^{*2}}$$」とは消防法$${^{*3}}$$で定められる発火性引火性の強い物のことなので、「包丁」は車内放送で言っている危険物ではない。もしかしたら鉄道会社やバス会社はもっと広い意味で危険物の定義$${^{*4}}$$をしているかも知れないが、包丁の類は入ってこない。

 ところが消防法の危険物に挙げられている物品を見てみるとエチルアルコール、オリーブ油$${^{*5}}$$や藁、かんな屑$${^{*6}}$$もある。法律によると危険物の定義$${^{*7}}$$はその量に依らない。少量だから危険物に該当しないということはないようだ。一定以上の量を製造、保管する場合$${^{*8}}$$には届け出などが必要になってくる。

 電車やバスに乗る一般の人は消防法の内容など知らないので、瓶詰めしたエチルアルコールや藁、かんな屑を持ち込むのに抵抗はないだろう。ガソリンなどは聞くまでもなく危険物であると善良な市民は判断するだろうから持ち込まない。悪意のある人は元々持ち込むのが目的なので法律は関係ない。

 すると車内で流される「危険物の持ち込みは禁止されています」という放送は、役に立っているのかいないのかよく分からなくなってくる。法律でいう危険物だということを認識しているが、移送するだけなので問題はないだろうと思いながら一斗缶に入れたアルコール$${^{*9}}$$などを電車やバスに持ち込もうとする人だけのための放送だろうか。

*1 包丁・ナイフの専門店「e刃物.com」アカシキコウ~ネットの刃物屋さん★包丁・ナイフのことならおまかせ!
*2 危険物取扱者について|財団法人消防試験研究センター
*3 消防法
*4 日本財団図書館(電子図書館) 「危険物の安全運送に関する講習会」テキスト
*5 岡山県消防防災課_危険物一覧
*6 住化分析センター / 危険性評価 / 危険物の分類
*7 消防法 第1章 総 則
*8 消防法 第3章 危険物
*9 消毒用エタノール 16L(一斗缶)

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