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20001017 益島博士

 エキシマレーザとは「益島」博士が発明したから、こういう名前になったのではない。エキシマは英語だ。excimer$${^{*1}}$$と綴る。「excited dimer」を合成した言葉で「励起した二量体」という意味である。dimerダイマーとはmonomerモノマー$${^{*2}}$$やpolymerポリマー$${^{*3}}$$と同類の言葉で、「二重」を表す「di」と「化合体」の「mer」とで構成される。

 excited+dimerでexcimerだと「di」が消えてしまっているので励起二量体の意味が薄まってしまう。もしかしたら最初から「excited+mer」で「励起化合体」なのかもしれない。

 アルゴン$${^{*4}}$$、クリプトン$${^{*5}}$$、キセノン$${^{*6}}$$などの不活性ガス$${^{*7}}$$とフッ素$${^{*8}}$$や塩素$${^{*9}}$$などの反応性の強いハロゲンガスとを混合して、その混合気体の中で放電する。すると普段、混合しただけでは化学反応を起こさない不活性ガスとハロゲンガスが放電のエネルギーによって、短い時間であるが化合物となる。アルゴンArとフッ素F2であればArF、キセノンXeと塩素Cl2ならばXeClというものが出来る。これがエキシマと呼ばれる化合体である。

 この物質は非常に不安定なのですぐに分解して元のガス分子に戻ってしまう。放電のエネルギーを得て合成されたので、分解するときはそのエネルギーを放出する。放電のエネルギーは不活性ガス原子の電子の状態を高めるのに使われたので、分解すると不活性ガスの電子が元の状態に戻ろうとする。この時、電子が元の状態に戻った分だけのエネルギーを持った光が放出される$${^{*10}}$$。光の出方はその不活性ガス分子の特有のものだから、エキシマを沢山作れば他のエキシマもつられて同じような特有の光が一斉に出てくる。これを鏡で集めてやると強力な光が取り出せる。これがエキシマレーザの原理$${^{*11}}$$である。ただしエキシマの寿命が短いため途切れ途切れのレーザ光しか出せない。

 比較的簡単な構造$${^{*12}}$$で強力な紫外線レーザを作ることが出来るのだが、ハロゲンガスは毒ガスなので扱いに注意を要するのが難点である。また反応性が強いガスなので放電管の電極と反応などしてガスが劣化していく。そのため頻繁にガスの交換をしなければならない。交換したガスを無害化する装置も必要である。

 このような装置$${^{*13}}$$を開業医が導入するのは結構大変かも知れない。

*1 Excimer Laser Surgery
*2  ◇ポリカーボネート(PC)◇
*3 信越ポリマー株式会社
*4 アルゴン
*5 Kr
*6 Xe
*7 原子のデータ総覧
*8 F
*9 Cl
*10 原子スペクトル(Atomic Spectrum)
*11 Excimer Lasers Information
*12 エキシマレーザの現状
*13 エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000CX

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