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20001122 針が付く地名

 昨日の針に続いて$${^{*1}}$$。地名に「針」という字が付いたところが愛知県$${^{*2}}$$に沢山ある。愛知県は旧尾張国$${^{*3}}$$と旧三河国$${^{*4}}$$とで構成されているが、針の地名があるのは尾張地区だけである。平針$${^{*5}}$$、高針$${^{*6}}$$、大針$${^{*7}}$$、小針$${^{*8}}$$、針田$${^{*9}}$$がある。愛知県以外にも針が付くところがあるかもしれない。

 使われている漢字に関連する事柄、意味がその土地の名前の由来になっていると考えたくなる。「田」の字が付いていれば田圃が沢山あったと思うのが普通だろう。しかし東京の大田区は$${^{*10}}$$大きい田圃があったから大田ではなく大森区$${^{*11}}$$と蒲田区$${^{*12}}$$とが合併したときにそれぞれの字を持ってきて大田区にしているので、漢字の意味だけからは一概に言えない。一方、東京の田無の語源$${^{*13}}$$はその一帯に田圃がなかったから「田無し」になったと考えられている。

 針の地名の由来を想像しようとしても容易ではない。「平針」といっても平らな針とは一体何のことか。「高針」も何を表しているのかよく分からない。「大針」や「小針」は分かるがそれがどうして地名になったのか皆目見当が付かない。「針田」とは何か。稲の芽$${^{*14}}$$は緑色の針のような形をしているので、これは何となく想像が付く。しかし針のようなのは一年の間の一時期だけなのでそれが地名になるのは考えにくい。

 上の地名の「針」はチクチクする尖った針のことではない。開墾を意味する「はり(墾)」である。この「はり」に「針」の字を当てただけなのだ。これらの地名がある地域はかつて尾張と呼ばれていた。「おわり」自体も「をはり」と表記していたことから「はり(墾)」が語源であるという説もある。全く意味の違う漢字を当てるのは奇異に思えるが、もともと日本語には文字がなかったので、古い地名には同じ地名でも様々な漢字が当てられたのだろう。

*1 20001121 ビュフォンの針
*2 愛 知 事 典
*3 尾張国絵図(下絵図)
*4 三河国絵図
*5 平針駅
*6 高針 〒465-0061 愛知県名古屋市名東区
*7 大針 〒465-0064 愛知県名古屋市名東区
*8 小針 愛知県小牧市
*9 小牧市告示第48号 上針田4号線
*10 大田区オフィシャルホームページ
*11 大東京三十五区内 大森区
*12 大東京三十五区内 蒲田区
*13 ++ ようこそ田無市へ ++ 田無市ホームページ ++
*14 有機無農薬米ができるまでのようす(春)

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