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20030203 身近なマイクロマシン

 半導体素子を製造する技術$${^{*1}}$$を使って小さな機械や装置を作る研究$${^{*2}}$$がなされている。今まで考えられなかった様な小さな機械$${^{*3}}$$をマイクロマシンと呼んでいる。

 マイクロマシンはこういった蟻の頭の大きさぐらいの部品$${^{*4}}$$を組み合わせて作る場合もあるのかもしれない。この様な小さな部品をどうやって組み立てるか$${^{*5}}$$が大きな課題であろう。

 建設が終わって超高層ビルの屋上に残っているクレーンを地上に降ろす$${^{*6}}$$ように、少しづつ「小さな機械を作る」機械$${^{*7}}$$を作っていけば、最後には物凄く小さな機械が出来るかも知れない。

 こういったマイクロマシンは何に使うのか。体の中に入れて病巣を取り除いたり$${^{*8}}$$、配管の中に入って配管の損傷箇所を修復したり、いろいろ使い道$${^{*9}}$$はありそうである。これらマイクロマシンはまだまだ研究段階で、本格的に実用化されるのはまだまだかなり先の話だろう。特に半導体素子製造工程を使って製作した可動部分のある装置$${^{*10}}$$で現在、実用化に至っている物は殆どない。

 身近で実用化されているマイクロマシンで思い浮かぶのは、DLP(Digital Light Processing)式プロジェクタ$${^{*11}}$$だろう。外観は全然小さくないが、中に組み込まれている部品$${^{*12}}$$がマイクロマシンなのである。このDLPの画像再生原理$${^{*13}}$$はDMD(Digital Micromirror Device)$${^{*14}}$$と呼ばれる縦横に綺麗に並んだ沢山の小さな鏡に、光を反射させて画像を作る。それぞれの小さな鏡は入力する信号に従ってそれぞれ独立にある角度で傾くようになっている。ある角度に傾けば光がスクリーンの方に反射して、他の角度の時はスクリーンに光が行かないようにプロジェクタの箱の中で吸収してしまえば、鏡一つ一つが画素となり画像が描けることになる。光の強弱は鏡が光をスクリーンに向けて反射させている時間で調整$${^{*15}}$$できる。DMDを三つ用意してそれぞれに三原色を反射させて合成$${^{*16}}$$すれば画像の色が再現できる。またDMDが一つでも、赤の画像の次は緑の画像といった具合に三原色を素早く入れ換えてやれば、残像によって画像は総天然色$${^{*17}}$$に見えてくる。

 この角度が変えられる小さな鏡は半導体素子製造工程を用いて作られる$${^{*18}}$$。これはアメリカのテキサスインスツルメンツ$${^{*19}}$$という会社が発明した。研究所や大学などで盛んにこういったいつ実用化されるか解らないような微小な歯車やモータ$${^{*20}}$$を作っていた中、テキサスインスツルメンツ社は実用化に漕ぎ着けたのである。

 微小な可動部分を持つ装置が身近で実用化された、現在唯一の例ではないだろうか。

*1 "動く"半導体で、さまざまな機器の小型・軽量・高性能化を実現 | NEDOプロジェクト実用化ドキュメント
*2 20001031 科学技術界の先祖返り
*3 カプセル内視鏡NORIKA(ノリカ)|アールエフ
*4 Introduction of PIDC - Professional Capabilities
*5 Communications for 2000: MEMS Corner Cube Retroreflector for Smart Dust
*6 IHI運搬機械株式会社 石川島運搬機械のホームページ タワークレーンのひみつ
*7 マイクロマシン技術 Micromachine Technology 世界最小のマイクロ旋盤
*8 Fantastic Voyage
*9 マイクロマシン技術の研究開発
*10 MEMS: Enabling the Next Silicon Revolution
*11 モバイルプロジェクタ
*12 Texas Instruments DLP® Display & Projection Chipset Selection Guide
*13 DPX-1の特長1
*14 DLP(TM) の技術と投影のしくみ
*15 Projectiebeeldschermen.
*16 USHIO LIGHT EDGE 19
*17 DLP(TM) の技術と投影のしくみ 方式による違い
*18 丸文株式会社 映像機器
*19 Texas Instruments Welcomes You
*20 MEMS: The king of technology

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