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20020208 plane

 「X-Plane$${^{*1}}$$」という字面だけを見ていると何やらそれが飛行機を意味するという感覚がなくなってしまう。もともとplaneは「平ら」という意味なので、そんな言葉が飛行機を指すというのは奇異な感じがする。

 日本語では「飛行機」という。読んで字の如く「飛んでいく機械」なので「飛行機」という文字をいくら眺めていても違和感は出てこない。自動車でも読んで字の如くの点は同じである。

 現代において、自動車は冷蔵庫やテレビジョン受像器と同じぐらい普及した。その所為か、自動車という意味で「くるま」という言葉を主に口語で使う。昔は「お車」とか「車代」のように車輪のついた乗り物一般を意味していた。日本語を知らない外国人が「くるま」という言葉の意味を知った時、私がplaneに抱いた感覚を持つのではないだろうか。「車」は自動車に限らず、自転車や電車、リニアモーターカー$${^{*2}}$$などあらゆる乗り物に付いている。なのに現代では何故「くるま」が自動車だけを指し示す言葉になり得たのか、と考えるだろう。

 planeが何故「飛行機」を意味する様になったのだろうか。ここ$${^{*3}}$$に書いてあった。

 aeroplaneの略としてplaneが登場した。「平面」と「空気の」という接頭辞の「aero$${^{*4}}$$」を付けてaeroplaneだった。もともとaeroplaneという言葉は空を高く飛ぶために設けられた平面構造の名前で、初めてこの言葉が出てきたのは1866年であった。後にこれが飛行機そのものを指す様になったのが1873年である。当時、空を飛ぶ乗り物は気球$${^{*5}}$$や飛行船$${^{*6}}$$があった。これと区別するための言葉だったのだろう。

 そして1907年には「aero-」の代わりに「air-」が付いたairplaneが登場した。1908年にはライト兄弟$${^{*7}}$$の一人について触れたロンドンタイムズからの引用文でplaneが出てきた。

 英語の「plane」や日本語の「くるま」の様に省略されてその言葉の持つ本来の意味の範囲よりも限定した用法が日本語の「飛行機」の場合でも将来、定着するかも知れない。それは「翼」だろうか「羽根」だろうか。「平面」でないことは確かである。

*1 20020207 X-プレーン
*2 リニアモーターカー
*3 plane 1. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*4 20001220 ドライアイ
*5 The Montgolfier Brothers
*6 Zeppelin Museum Friedrichshafen
*7 Wright Brothers Aeroplane Company and Museum of Pioneer Aviation Home Page

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