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20010430 複素数(1)

 a+biと表す数を複素数$${^{*1}}$$という。ここでa、bは実数である。iは虚数単位と呼ばれるもので$${\sqrt{-1}}$$のことである。英語で虚数はimaginary numberというので、その頭文字の「$${i}$$」をとってそれを記号としている。読む時は日本語でも「アイ」と発音する。電気電子工学では「$${i}$$」は電流の記号として使われるので、特別に虚数は「$${i}$$」の代わりに「$${j}$$」を使う。日本語では「ジェイ」と発音する。

 電気電子工学で虚数単位に「$${j}$$」を使うようになったのはアルファベットの順番から「$${i}$$」の次の「$${j}$$」になったと思われる。ローマ字の歴史からすれば「$${i}$$」の異形が「$${j}$$」なので、「$${j}$$」は後発である。虚数の発明が電流の発見よりもあとならばすっきりする。
 虚数単位を「$${i}$$」と書き出したのは18世紀の終わり頃であった。一方、電流を「$${i}$$」と書き出したのはいつの頃からなのだろうか。電線を流れる電流の概念が明確になってきたのはアンペール$${^{*2}}$$やファラデー$${^{*3}}$$の時代だろうから18世紀終わりから19世紀始めだろう。

 こう考えると電流の「$${i}$$」の方が後発のような気がしてきた。虚数単位の方が後ならば撞着しないで済んだ。だからと言って虚数単位「$${i}$$」と間違えやすいから電流の強さintensity$${^{*4}}$$を「$${j}$$」にするわけにはいかなかったのだろう。

*1 複素数の定義
*2 アンペール(Ampere,Andre Marie)
*3 ファラディ(Faraday,Michael)
*4 電流の量記号

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