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20020811 蓑亀

 今頃になると家の亀$${^{*1}}$$の甲羅が剥がれ出す。甲羅は甲板$${^{*2}}$$と呼ばれる板で構成されている。甲羅の周辺の甲板は縁甲板、真ん中は椎甲板、その両脇にある甲板は肋甲板と呼ばれる。甲羅は甲板単位で剥がれる。これはミドリガメ$${^{*3}}$$特有なのか家の亀特有なのかよく判らない。

既に甲長が20cmを越えているので甲羅の剥がれ方も凄まじい。500円玉ぐらいの大きさの甲板が剥がれ落ちている。鼈甲$${^{*4}}$$みたいな感じである。「鼈甲」はスッポンの甲羅という意味$${^{*5}}$$だから、元々はタイマイの甲羅$${^{*6}}$$よりも鼈甲に近いかもしれない。小さい時は剥がれ落ちる甲板も人間の小指の爪程度であったのでそれ程気にならなかった。

 甲板一枚分がそっくり剥がれ落ちるので甲板に付着していた細かい藻はそれと一緒に剥がれ落ちてしまう。従って甲板が剥がれ落ちた部分は綺麗になっている。

 イシガメやクサガメのような他のヌマガメ$${^{*7}}$$もこのような剥がれ方をするのだろうか。蓑亀と呼ばれる亀がいる。亀の種類の名前ではなく甲羅にふさふさと水藻が生えてしまっている亀$${^{*8}}$$をそう呼ぶ。昔から吉兆として珍重$${^{*9}}$$されているらしい。このように藻が生えるには長い時間が必要である。家の亀のように毎年甲羅が剥がれ落ちていては藻は大きく成長しない。そうするとイシガメやヌマガメはミドリガメのようには甲羅が剥がれないのだろうか。

 どんなヌマガメでも堅い甲羅が成長するためには古い甲板は剥がれ落ちるしかないような気がする。ところが甲板が剥がれ落ちては何年間も藻が育たない。それとも成熟した亀は甲羅が成長しないので甲板が剥がれなくなるのだろうか。

 もしかしたら蓑亀に生えている藻は成長するのにそれ程時間がかからないかもしれない。だから毎年蓑亀は蓑を着替えているとも考えられる。これを詳しく研究した人はいるのか。南方熊楠$${^{*10}}$$は研究していた$${^{*11}}$$みたいだ。

*1 20020710 亀の生涯
*2 縁甲板式/腹甲式
*3 ミドリガメ
*4 OSAWABEKKO
*5 生薬名・・・・鼈甲
*6 BEKKO WORLD
*7 ヌマガメ科3種とスッポン科1種の見分け方
*8 蓑亀(ミノガメ)
*9 Heian Jingu Shrine / 平安神宮
*10 南方熊楠記念館
*11 紀伊民報AGARA「普段着の南方熊楠」

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