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20020710 亀の生涯

 家で飼っている亀の一日は、朝起きて人の気配を感じると餌をねだり、日中は甲羅干し$${^{*1}}$$をして、夕方になると水に入って泳ぎながら暗くなるまで時間をつぶし、すっかり暗くなると水の底で眠る。そこら辺の川や池に暮らす亀も基本的に同じである。

 春から秋にかけてこれを毎日繰り返す。その間、繁殖活動もやる$${^{*2}}$$。人間のようにそればっかりやっている者もいるかもしれない。しかし基本は甲羅干しと睡眠である。冬の間は水の中で冬眠しているので睡眠ばかりである。亀の寿命は30年以上$${^{*3}}$$をはあるようなので、この捕食と甲羅干しと睡眠とを30年以上繰り返すのである。亀の一生は一体何であろう。

 人間以外の動物が何か目的を考えたりすることは出来ない、と我々は勝手に考えている。だから漫然と生きて何が面白いのだろう、と思ってしまう。何も考えていないのだから、面白いのかどうかの判断すらできない。亀はただ単に生きていているのみである。人間の生活も日々の由無し事$${^{*4}}$$をを削ぎ落とせば、捕食と歩き回ることと睡眠だけの生活を繰り返しているのだから、亀と余り変わらない筈である。しかし自分たち人間は色々考えてやっているので他の考えない動物たちとは違うと信じている。

 亀に考える力があれば、我々の生きる様を眺めて80年以上も毎日同じようなことを色々考えながら繰り返して何が面白いのだろう、と思うに違いない。

 亀から見ても人間の生活はその程度かと思うと、色々考えている大抵のことはどうでもいいと言うことに気付く。

*1 20010325 甲羅干し
*2 繁殖 その1 繁殖活動
*3 亀博物館
*4 20001025 あさきゆめみし

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