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20010410 永久カレンダー

 腕時計にはよくカレンダーが付いている$${^{*1}}$$。日付だけのもあれば月と曜日まで表示$${^{*2}}$$できるものもある。中には2100年2月28日まで大の月、小の月$${^{*3}}$$、閏年$${^{*4}}$$の修正がいらないカレンダー付きの腕時計もある。

 もっと凄いのがあった。IWCというスイスの時計製造会社$${^{*5}}$$が発売している「Da Vinci$${^{*6}}$$」という時計である。この時計は何と西暦2499年12月31日まで、西暦年の4桁表示、月、日、曜日が無修正で表示できる。しかもこれを純粋に機械で行っている。

 大の月、小の月、閏年を機械的に判別して表示する$${^{*7}}$$。これはどういう機構になっているのだろうか。大小を区別する歯車$${^{*8}}$$が内蔵されていて、この歯車の歯の切り込みの深さで月末が28日か29日か30日か31日かを区別するようになっている。閏年を含めれば月の大小は4年周期になる。従ってこの歯車は4年かかって一周する。

 更に西暦を表す文字盤を動かす歯車は10年かかって一周する。西暦の上二桁の表示は回転板ではなく、説明図で言うと上下に移動する板になっている$${^{*9}}$$。この表示板が「19」「20」「21」しか表示されていないのは、移動する余裕がないためで、現状のままでは2199年12月31日までしか表示できない。2200年からはこの表示板を取り替えが必要となる。

 修正はこの時だけではない。グレゴリオ暦では100で割り切れる西暦年は閏年にしない。2100年は「4年周期では閏年であるが、100年周期で閏年ではない年」になる。「Da Vinci」は100年周期までは対応できないので2100年3月1日に日付を修正しなければならない。つまり「Da Vinci」にとって当日は閏年なので「2100年2月29日」と表示しているので1日進めなければならない。

 この作業は内部の調整を必要とするらしいので、これまた時計職人の手がいる。日付の表示機構$${^{*10}}$$から見て単に1日進めるだけよさそうな気がするが、そうではないらしい。

 電子的に「100年周期の閏年ではない年」の区別は簡単にできるだろう。しかし今から100年後に腕時計に内蔵されたIC回路がちゃんと動作するかは全く保証がない。配線などが腐食$${^{*11}}$$して恐らく動かなくなるだろう。機械式腕時計であれば100年後、200年後、500年後のカレンダーはある程度意味があるが、電子で制御されている腕時計の100年後までのカレンダーは全く意味がない。

*1 alpinist.jpg
*2 wave ceptor | 時計 | CASIO
*3 アテッサ(パーペチュアルカレンダー クロノグラフモデル)
*4 19991016 裏のウラ閏年
*5 スイス製高級腕時計 | IWCシャフハウゼン
*6 The Epoch of Light: The IWC Perpetual Calendar - Revolution
*7 The IWC Perpetual Calendar Mechanism | TimeZone
*8 iwc.pgm.wheel.jpg
*9 iwc.year.display.jpg
*10 iwc.davinci.calplate.section.jpg
*11 マイグレーション現象の概要

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