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20050923 腹話術器

 「トムとジェリーの真ん中$${^{*1}}$$」に出てくる「腹話術器」の正体は何か。トムとジェリーの真ん中というのは主にTex Avery$${^{*2}}$$が製作した漫画のことで、ドルーピー$${^{*3}}$$やスパイク$${^{*4}}$$といった個性の強い動物の主人公が登場する。

 「腹話術器$${^{*5}}$$」は、スパイクと野良猫との喧嘩の話で登場する。野良猫がスパイクに追いかけられ、奇術店の外に置いてあった箱に飛び込む。そこには簡単に腹話術ができるようになる機械$${^{*6}}$$があった。これを舌の上に乗せて$${^{*7}}$$自分の思った場所に向けて声を出せば$${^{*8}}$$、そこから声が出ている$${^{*9}}$$ように聞こえるのである。これを使って野良猫はスパイクに反撃をしかける$${^{*10}}$$。

 気になるのは、この「定価10セントの腹話術器$${^{*8}}$$」の正体は何か、である。腹話術の機械なんていくらアメリカでも$${^{*11}}$$存在していないだろう。物理的に考えてもちょっと無理なような気がする。

 腹話術は、唇を動かさずに出している術師の声に合わせて人形の口が動いているから人形が喋っているように見える。ゴミ箱に向かって声を出しても*8、ゴミ箱は動かないから喋っているようには見えない。ところが音の高さによってはどこから鳴っているのか解らない場合がある$${^{*12}}$$。時には全く逆の方向から聞こえることもある。もしかしたら腹話術器は声の高さを変えるのかも知れない。声の高さを変えることによってどこで声を出しているのか分かり難くするのだろうか。しかし五十年以上前の漫画$${^{*10}}$$だから口の中に入れる電子的な装置$${^{*13}}$$を想定していることはないだろう。

 昔、ぬいぐるみなどに入っていた鳴き声がする丸い筒の仕掛け$${^{*14}}$$を思い出す。小さなふいご$${^{*15}}$$のようなもので、ぬいぐるみを逆さまにすると筒の中のおもりが移動してふいごのように風を起こして筒の端に付けた笛を鳴らすようになっていた。猫や赤ん坊などの人形に入っていて「みゃー」というような音を出した。これが「腹話術器」の発想の源ではないのか。

*1 20030910 cats and dogs
*2 Tex Avery Tribute
*3 droop6.jpg
*4 spike10.jpg
*5 be_a_ventriloquist.jpg
*6 throw_your_voice.jpg
*7 tongue.jpg
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*9 throwing_voice2.jpg
*10 腹話術は楽し - goo 映画
*11 TalkingComedy.com Ventriloquism LEGEND Profile: JIMMY NELSON
*12 20000527 みみず
*13 エコグッズ「アイフリー」 ==地域モール連合【にっぽん市】==
*14 WIDE TEAM DEVELOPMENT LTD. -- VOICE BOX Wide Team (Toy Accessories)
*15 図説福井県史 近世22 越前鎌と油桐(1)

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