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20020514 昆虫の水分

 遠い昔、何かの本で読んだのだが、昆虫は自分の体内にある水を保持するためにいろいろ苦労をしている、というのだ。その本にその苦労が書いてあったのか、書いてあったならばそれはどのようなものかは完全に忘れてしまった。

 昆虫の体も我々と同じように細胞で構成されている。そうするとその細胞の中には水が含まれているはずである。それに昆虫の体の中にも体液が流れている$${^{*1}}$$だろう。芋虫やカブト虫などであれば体内に循環器があるというのは何となく想像できる。昆虫もぼーっとしていれば、細胞の水や循環器を流れる体液が蒸発してしまうのではないだろうか。

 アザミウマタマゴバチ$${^{*2}}$$という地上で確認されている世界最小の昆虫がいる。アザミウマ$${^{*3}}$$という1mm程度の虫の「卵」に寄生する蜂$${^{*4}}$$らしい。1mm程度の虫が生む卵だから、それは1mmよりも小さい。そしてその卵に寄生する蜂だからもっと小さい。0.2mm程度の大きさしかない蜂である。髪の毛の太さが0.1mm程度$${^{*5}}$$なので、その2本分しかない大きさだ。

 これだけの大きさしかないのにどうやって体の水分を一定に保っているのだろう。アザミウマタマゴバチよりももっと小さい生物はいくらでもいるが、それらは常に水の中にいる。水の中にいれば自分の体内の水の心配は必要ない。

 アザミウマタマゴバチと同じ大きさの水滴を空気中に置けば、数十秒もすると完全に蒸発してしまう。アザミウマタマゴバチの寿命は数日なのか数時間なのか判らないが、少なくとも体内の水が蒸発してしまうのを防ぐ努力をしているに違いない。

 もしかしたら積極的に空気中の水分を取り込む機構を持っているのかもしれない。呼吸で取り入れている$${^{*6}}$$のは酸素だけではなく空気中の水分も取り入れているのだろうか。

*1 検査のわき道20「本当の支配者?:昆虫たちの世界 その1」
*2 世界最小の虫
*3 アザミウマ
*4 地上最小の昆虫はどうやって飛ぶか??――アザミウマタマゴバチ
*5 日本女性の髪の毛の平均的太さはどれくらい?
*6 茨城県自然博物館 野外昆虫探検

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