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20050519 オイラーの予想

 中学生の頃、数学で三平方の定理$${^{*1}}$$を習った。この時、$${3^2+4^2=5^2}$$というきれいな関係を知って感心した憶えがある。連続する自然数がこの様な関係になるのは$${(3,4,5)}$$しかない。

 もっと凄いのがある。$${3^3+4^3+5^3=6^3}$$という関係だ。$${3^3=27}$$、$${4^3=64}$$、$${5^3=125}$$、$${27+64+125=6^3=216}$$。連続する自然数がこの様な関係になるのも$${(3,4,5,6)}$$しかない。連続していなければいくらでもある$${^{*2}}$$。このような関係の連続している自然数を探すには、

$${X^n+(X+1)^n+(X+2)^n+ ・・・ +(X+n-1)^n=(X+n)^n}$$

が成り立つ自然数$${X}$$を求めればいい。$${n≧4}$$のとき$${X}$$はどうなるか。$${n=4,5}$$の時、少なくとも$${X=3}$$では成り立たない。即ち$${(3,4,5,6,7)}$$と$${(3,4,5,6,7,8)}$$とにおいて上記の関係になっていない。何となく$${n≧4}$$では解がなさそうだが、私の能力ではそれを証明するのが難しい。

 少し違うが、「オイラーの予想$${^{*3}}$$」というのがある。「一般に$${n}$$乗数の$${(n-1)}$$個の和は$${n}$$乗数にならない」という予想である。$${{X_1}^n+{X_2}^n+{X_3}^ n+ ・・・ +(X_{n-1})^n=Y^n}$$が成り立つ整数の組$${(X_1,X_2,・・・,X_{n-1},Y)}$$は存在しないというのである。$${X_i}$$や$${Y}$$は連続していなくてもよい。$${n}$$が最小の場合、即ち$${n=3}$$の時、$${{X_1}^3+{X_2}^3=Y^3}$$は解が存在しない。これはオイラー自身が証明$${^{*4}}$$している。

 $${n≧4}$$はその拡張なので、オイラー$${^{*5}}$$は何となく「解なし」と予想したが、1966年に$${n=5}$$の場合の$${27^5+84^5+110^5+133^5=144^5}$$という解が見つかった$${^{*6}}$$。これによってオイラーの予想は間違っていることが判った。

 $${n=4}$$の場合、1988年にまず$${2682440^4+15365639^4+18796760^4=20615673^4}$$が発見された$${^{*7}}$$。和が最小になる解でも$${95800^4+217519^4+414560^4=422481^4}$$ $${^{*8}}$$だからオイラーが解はないと考えるのは無理もない$${^{*9}}$$。

*1 中学校数学~三平方の定理~
*2 Cubic Quartets With a,b,c < 1000
*3 オイラーによるフェルマーの大定理の拡張的予想
*4 20021208 フェルマーの大定理
*5 Euler
*6 COUNTEREXAMPLE   TO  EULER'S   CONJECTURE   ON  SUMS   OF  LIKE   POWERS 
*7 Euler Quartic Conjecture -- from MathWorld
*8 Euler's Conjecture
*9 20030206 Brouwerの問題

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