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20011216 カメノテ

 カメノテ$${^{*1}}$$という名の海の生き物がいる。磯の岩場の隙間で大抵見つけることが出来る。何故「亀の手」という名前になったのか。その姿を見ればすぐ判る。亀の手の様な形をしているからである。

 ところが亀といってもどう見てもウミガメ$${^{*2}}$$の手には見えない。海の生物の名前ならば海の物に因んでもよさそうだが、大洋を回遊するウミガメ$${^{*3}}$$の足や手には「カメノテ」のように爪はないので「海亀の手」ではないようだ。

 カメノテの腕の部分は細かい鱗$${^{*4}}$$で覆われている。これもウミガメ$${^{*5}}$$にはない。ウミガメの手足の鱗はそれ程細かくはない。これらを考えるとどうも亀は亀でもウミガメではなくイシガメ$${^{*6}}$$のようなヌマガメ$${^{*7}}$$である。ヌマガメの爪はカメノテの爪のように大きくないが、腕の部分の鱗はイシガメにそっくりだ。

 幼少の頃、磯辺の岩のカメノテを見つけた時、ヌマガメが岩の隙間に沢山隠れているのかと勘違いしてしまったことがあるので、「カメノテ」という名前の付け方はごく自然ではないかと思う。海辺に住む人よりも内陸に住む人が圧倒的に多いので「亀」と言えばウミガメではなくヌマガメのことになるのだろう。

 英語ではGoose Barnacle$${^{*8}}$$と言うらしい。「ガチョウのフジツボ」である。ガチョウが雁首をそろえているように見えるからだろうか。学名のPollicipes mitella$${^{*9}}$$の語源はよく判らない。

 中国語では「龜足$${^{*10}}$$」と言うようだ。これは日本語と同じ発想である。

 日本でも中国でもカメノテは食べると美味い$${^{*11}}$$らしい。

*1 カメノテ | 甲殻 | 市場魚貝類図鑑
*2 アカウミガメ | 美ら海生き物図鑑 | 沖縄美ら海水族館 - 沖縄の美ら海を、次の世代へ。-
*3 ウミガメとは
*4 Pollicipes | MARINe
*5 20001102 山本芳翠
*6 --- カメ目 - ヌマガメ科 - ユーラシアイシガメ属 --- イシガメ
*7 ヌマガメ科 (全文) [爬虫類・両生類] All About
*8 Goose Barnacle - The Australian Museum
*9 カメノテ Pollicipes mitella (Linnaeus)
*10 龜足:龜足(Capitulum mitella),英文名:Japanese goos -華人百科
*11 カメノテ(亀の手)は出汁がうまい!カメノテの美味しい食べ方 | たべるご

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