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20060916 ホヤ

 「ホヤは脊椎動物」という記述を見かけた。ホヤ$${^{*1}}$$とは海にいる海綿$${^{*2}}$$みたいな形をした生き物である。よく似ているが本当は全然違う。海綿$${^{*3}}$$は体の構造が簡単$${^{*4}}$$で細胞が単に集まってできている$${^{*5}}$$ようなものだが、ホヤには鰓、胃、心臓、生殖器などがある$${^{*6}}$$。海綿に比べるとかなり高度な生き物だろう。

 海綿よりも高度だと言っても、我々人類と同じ脊椎動物であるというのはちょっと想像できない。しかも岩にへばりついて一生その場所から動かない。そんな脊椎動物は他にいるのだろうか。そもそも動かないなら背骨などいらない。

 ホヤは脊索動物$${^{*7}}$$らしい。「脊索」と「脊椎」との違いは何か。脊索は背骨になる前の体を支えるための棒状の器官で、脊椎は背骨そのものである。漢字の「脊」は背中もしくは背骨の意味、「索」は太い綱、「椎」は背骨を意味する。従って背骨のないホヤを脊椎動物と呼ぶのは相応しくない。

 ホヤは子供の時、オタマジャクシのような形$${^{*8}}$$をしていて、適当な岩を見つけるとくっついて固着生活に移行する。オタマジャクシの頃$${^{*9}}$$は脊索を持っているが、固着すると脊索もなくなってしまう$${^{*10}}$$ようだ。オタマボヤ$${^{*11}}$$というホヤの仲間はオタマジャクシ形で一生を終えるらしい。オタマジャクシ形なので脊索はなくならない。

 ホヤは食べられるが、私は大人になるまで食べたことがなかった。初めて食べた時、何とも言えない味に驚いた。例えようのない味である。他に似た味の物がない。何かと何かとを組み合わせた味とも言えない。「ホヤの味」としか言えないのだ。他にない味だから、基本的な味とも言える。脊椎動物の原始的な生き物だから基本の味がするのだろうか。

*1 ホヤ/マボヤ 市場魚貝類図鑑
*2 b010110a.jpg
*3 動物の分類と系統
*4 学問のアルケオロジー
*5 C 細胞の分化
*6 [生物の発生] 成体 -ホヤの成体-
*7 無脊椎動物図鑑・脊索動物門 ホヤ綱 ナメクジウオ綱
*8 ◆イタボヤの生活史◆
*9 [生物の発生] 遊泳幼生 -解説-
*10 [生物の発生] 変態 -変態過程-
*11 オタマボヤ

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