見出し画像

20031010 ガムテープの発光(3)

 ガムテープを貼り合わせて剥がすと光る$${^{*1}}$$という話しを先日書いた。この現象は「トライボルミネッセンス$${^{*2}}$$」と呼ばれる。

 この現象はガムテープだけではないらしい。砂糖$${^{*3}}$$や石英など$${^{*4}}$$でも起こるようだ。火打ち石$${^{*5}}$$もこのトライボルミネッセンスが原理であるようなことが書いてあるページ$${^{*2}}$$があったが、これは違うだろう。火打ち石の火花は摩擦熱による火花である。石と鉄とを擦り合わせた時の削れた鉄が摩擦熱で燃えて火花となって飛ぶのである。石と石とを擦り合わせても火花が出る$${^{*6}}$$。この場合、石どちらかの石に含まれる酸化しやすい成分が擦り合わせた時の摩擦熱で燃えるのだろう。そういえば幼少の頃に何時間もかけて石と石とをぶつけ合わせて火打ち石を探したことがあった。

 アメリカの穴あきの丸いハッカ飴$${^{*7}}$$を潰すとよく光る$${^{*8}}$$らしい。

 飴の中の砂糖の結晶$${^{*9}}$$が割れる寸前、加えた力によって結晶を構成する原子の分布に不釣り合いが生じ$${^{*10}}$$、そのまま結晶が割れると割れた片方が電子が余分に、もう片方は電子が足りなくなる。これは静電気が生じた状態$${^{*11}}$$である。

 割れた瞬間から飴に加えられた力は解消されてしまう。電子が余分な破片と電子が過剰な破片との距離がごく近いので、すぐに電子が元に戻ろうとして空気中を飛び越えていく。この時、空気の分子に電子が衝突して光が放出されるが、電子の量がそれ程多くないのでその光は弱すぎて見えないらしい。

 空気に多く含まれる窒素分子に電子が衝突すると目に見える光の他に紫外線が出るという。紫外線は見ることが出来ない。この紫外線を飴の中のハッカの成分が吸収して光を発している$${^{*12}}$$のだという。

 飴が割れる時、第一段階で「砂糖の結晶の中の電子の過不足を解消するために電子の移動が起こる」、第二段階で「電子が空気中を移動する時、窒素分子に衝突して、窒素分子は紫外線を放出する」、そして第三段階では「飴に含まれるハッカの成分が紫外線を吸収して目に見える光を放出する」という過程を経て光ると考えられている$${^{*13}}$$。

 光るハッカ飴のハッカの成分は「wintergreen$${^{*14}}$$」という木から採れるものらしい。これ以外のハッカ$${^{*15}}$$でも光るのだろうか。カルミン$${^{*16}}$$はどうだろう。

*1 20031004 ガムテープの発光(2)
*2 らくらく化学実験_ガムテープばりばり発光
*3 WintOGreen Lifesavers SCIENTIFIC EXPERIMENTS AT HOME:WINTERGREEN CANDY AND OTHER TRIBOLUMINESCENT MATERIALS
*4 Mineral Gallery - Pleochroism, Phosphorescence and other light effects
*5 ●開運なびホーム● 火打ち石
*6 らくらく化学実験 つれづれ化学草子 火打ち石の巻 日本書紀
*7 Lifesaver Wintergreen
*8 Lewie's Fluorescent Mineral Page Triboluminescence
*9 理科教材教具 砂糖の大結晶
*10 トルマリン大調査! 圧電効果の解説(「物理学辞典」(物理学辞典編集委員会))
*11  20030501 電気のプラスマイナス(3)
*12 VIDEO LECTURE DEMONSTRATIONS 7B13.05 TRIBOLUMINESCENCE
*13 The Straight Dope: Why do wintergreen Life Savers spark when crunched?
*14 Wintergreen
*15 ハッカの種類 | 北見ハッカ通商 公式サイト
*16 明治製菓:商品カタログ カルミン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?