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20010530 ELGINの時計

 新聞の折り込み広告を眺めていたら、こんな時計の通信販売$${^{*1}}$$の広告があった。エルジン$${^{*2}}$$と言えばテレビの通信販売でよく登場する、どこかスイスの有名時計メーカとそっくりな意匠の腕時計を非常にお手頃な価格で数多く世に送り出しているアメリカの時計メーカ$${^{*3}}$$である。このメーカの骨董品は人気があるようだ。

 例えばこの時計$${^{*4}}$$は、スイスの高級腕時計メーカのこの時計*5$${^{*5}}$$とそっくり過ぎて見分けがつかないぐらいである。それでいてエルジンの方の値段が2万円以下$${^{*6}}$$なので、どっちが真似をしているのかは容易に想像が出来る。

 さて目に留まったエルジンの時計は太陽電池で駆動するものである。何とその太陽電池が裏蓋に付いている$${^{*7}}$$のである。充電するためには時計を腕から外さなければならない。充電するために腕時計を外すのはこの時計$${^{*8}}$$ぐらいだろう。この電磁誘導で充電する時計の意義は電池交換が不要という点だけだ。製造側から見れば、自動巻型充電機構$${^{*9}}$$よりも簡略化できる、他社特許の回避、意匠の自由度増加であろうが、そのようなことは使用者側にとってはあまり関係ない。

 太陽電池は普通は黒に近い色をしているので、太陽電池を時計の文字盤に配置すると意匠の自由度が極端に減る。多くの電力を得るためには出来るだけ太陽電池の面積を大きくしたいのであるが、文字盤が黒一色になってしまう。

 これを解決するために透明な太陽電池$${^{*10}}$$を開発したり、太陽電池の配置を工夫したり、時計の消費電力を極限まで小さくする努力$${^{*11}}$$をしている。自動巻型充電機構も透明な太陽電池も時計をしたまま充電をすることが前提なのである。そのために腕時計製造会社は開発費を投入しているのである。

 それを単に裏蓋に太陽電池を持ってきただけで「世界初」というのはどうだろう。発想の転換で一回の充電で数ヶ月動くのであれば$${^{*12}}$$時計を外してもいい、と考えるのはいい。全く新しい技術がないものに対して、今までなかったから「世界初」というのは少し考えものである。

 それにしても充電するのにどれだけの時間が掛かるのだろうか。数時間以上掛かるとしたら充電が相当面倒くさくなる。私は、腕時計を一年中左腕に着けたままであるが、普通の人が長時間時計を外すのは寝る時ぐらいだろう。そんな時は充電エネルギーの元になる光がない時なのである。

*1 JPEG 画像 200x360 ピクセル
*2 ELGIN・エルジン
*3 [ELGIN] The Elgin Watch Collectors Site
*4 エルジン FK-938TI-B
*5 TAG Heuer S99.213M セル S/el
*6 ELGIN・エルジン 商品リスト
*7 JPEG 画像 266x400 ピクセル
*8 無接点電磁誘導方式
*9 K I N E T I C の 駆 動 原 理
*10 エコ・ドライブ ビトロ
*11 シチズン・ソーラー腕時計の歴史
*12 ELGIN・エルジン 各種機能説明

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