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20031130 あなたの知らない世界(2)

 ある読者の方から雑記草の記事について指摘を頂いた。三年前に「北に1km、東に1km、南に1km歩いたら元の出発点に戻ってしまう南極以外の場所はどこか$${^{*1}}$$」というクイズを書いた。このクイズについてである。

 この答えは「南極を中心とした半径約$${(-(n \times 2π-2)+\sqrt{(n \times 2π-2)^2+4 \times n \times 2π})/(2 \times n \times 2π)}$$ kmの円周上$${^{*2}}$$」と書いたが、これは間違っているという。

 東西の方角は経線に垂直な大円であって、上で書いたようなその地点の緯線ではないという。大円とは、球を中心通るようにすぱっと切った時の切り口の円のことで、地球上の二点を最短距離で結ぶ経路はこの大円で描かれた線になる。二点間の最短距離なのでこの大円を球面における「直線」と定義$${^{*3}}$$することが出来る。

 経線に垂直なこの球面上の直線の方向が東西$${^{*4}}$$なので、上の答えでは、真東に歩いていることにならないというのである。

 この指摘で気付いたのは、東京から見るとハワイは真東にあるが、ハワイから見ると東京は「真西にない」$${^{*5}}$$ということである。これは思ってもみなかった。通常、自ら方角を気にして動く範囲であれば、東西の関係はいつも一定である。これは平面を基準に考えているからである。行動範囲が球面を意識しなければならないぐらい広がるとこういった食い違いが生じることになる。

 ところで「東に歩く」というのは一体どういうことであろう。「常に東を向いてその方向に歩き続ける」のであれば緯線に沿って歩くことになる。「出発点を基準にして東方向の『直線』に沿って歩く」のであれば緯線とは関係なくなる。上の問題文からはどちらなのか判断できないので、必ずしも答えが間違っているとは言えないだろう。

*1 20000322 あなたの知らない世界
*2 20000401 あなたの知らない世界の答え
*3 三角形の内角の和と幾何学の等質等方性
*4 方位地図ライブラリ 「方位」の定義とは
*5 方位地図ライブラリ 方位地図

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