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20040304 閏年の一日

 web上の読み物を読んでいたら、閏年$${^{*1}}$$について面白い記述があった。今年は閏年で$${366}$$日あるのだけど、普段は$${365}$$日だ。閏年は$${366 \times 24=8,784}$$時間なのに、普段の年は$${365 \times 24=8,760}$$時間である。普段の$${24}$$時間はどこに行ってしまっているのだろう、というのだ。

 これを書いた人は、四年間で地球の自転が$${24}$$時間分遅くなるため、これを調整するのに閏年に一日加算する、と理解していた。

 地球の自転時間の変化と精密な時刻との調整は「閏秒$${^{*2}}$$」で行っている。ここで言う「精密な時刻」というのは原子時計$${^{*3}}$$で定義されている時刻のことで、地球の自転と関係なく定義されている。実際の時刻と地球の自転速度の違いは$${4}$$年間に何十時間もずれるということはなく、$${1}$$日当たり数ミリ秒$${^{*4}}$$程度である。おそらく「閏年」と「閏秒」とを混同してしまったのだろう。

 閏年で「$${1}$$日」を挿入する理由は、一年を$${365}$$日としたためである。実際には一年間、即ち地球が太陽の周りを一周するのにかかる日数は$${365.2422}$$日なので、$${365}$$日だと毎年$${0.2422}$$日ずつずれてくる。$${4}$$年で約一日分ずれてくるので閏年に一日余分に入れて調整する。

 閏年のしくみは中学生の理科で習うような気がする。それにしても「普段の年の$${24}$$時間はどこに行ったのか」という発想はどこから来たのだろう。そもそも一日の定義は地球自身が一回転する時間であって、それが$${24}$$時間である。一方、地球が太陽の周りを一周する時間を「一年」としており、$${366\times 24=8,784}$$時間もしくは$${365 \times 24=8,760}$$時間を「一年」と定義しているのではない。

 一年や一日の定義の勘違いが疑問の発端のようである。こういったことは時として起こる。私も、例えば、正十七角形がコンパスと定規で作図できる$${^{*5}}$$というのを聞いて$${360}$$度は$${17}$$で割り切れないのに何故、正確な作図が可能なのか、と思っていた。

*1 19991016 裏のウラ閏年
*2 20020217 正確な時刻
*3 美星町 星のデータベース 原子時計
*4 国立天文台 よくある質問 質問4-3) 「うるう秒」ってなに?
*5 20030717 正十七角形

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