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20000428 CZ

 LSI$${^{*1}}$$を作る為の最も基本的な材料はシリコンである。美容整形などで「シリコン」を入れるとよくいうが、これは「シリコーン$${^{*2}}$$」の事であってLSIの材料のシリコンとは違う。違うと言ってもシリコーンはシリコン原子が多く含まれて構成された分子の重合体$${^{*3}}$$であるから全く違うわけではない。少しは共通点がある。しかしシスコーン$${^{*4}}$$やシスコムーン$${^{*5}}$$とは全然違うので注意したい。

 LSIの製造で使うシリコンは結晶化しているシリコンで、しかも巨大な単結晶$${^{*6}}$$である。直径20数~10数cmで長さ数10cmの単結晶である。身近なもので言えば立方体の塩粒やダイヤモンドが単結晶$${^{*7}}$$である。これがそのまま巨大化した物と思えばよい。因みにダイヤモンドは炭素の単結晶であるが、炭素原子の並び方とシリコン単結晶のシリコン原子の並び方は全く同じである。
 結晶というのは結晶を構成する原子や分子が整然と並んだ状態をいう。
 ただし、身の回りの大抵の結晶は小さな結晶の粒が多く集まった多結晶$${^{*8}}$$という状態である。結晶の中身が全部整然と原子や分子が並んでいる状態を単結晶という。単結晶の粒が集まったものが多結晶である。丁度、多結晶と単結晶の関係は角砂糖と氷砂糖の関係である。氷砂糖を細かくして立方体に固めれば角砂糖である。味は大体同じだが、水への溶け方や硬さなどの性質が変わってくる。シリコンでも同じで化学的な性質は同じだが、電気的機械的性質が変化する。

 LSIを製造するときには巨大な単結晶のシリコンをハムを切るように薄く輪切りにしたものを使う。輪切りにしたものをシリコンウェハ$${^{*9}}$$と呼んでいる。

 この巨大な単結晶を作る方法に代表的なものが二つある。一つはフローティングゾーン法$${^{*10}}$$、あと一つはチョクラルスキー法$${^{*11}}$$である。フローティングゾーン法よりもチョクラルスキー法$${^{*12}}$$の方が大きな単結晶を作ることが出来るが、フローティングゾーン法の方が酸素などの不純物が少ない単結晶$${^{*13}}$$を作ることが出来る。そしてチョクラルスキー$${^{*14}}$$とは人の名前である。

 それぞれ長い名前なのでFZ法、CZ法と略される。どちらも「Z」が付いているので共通の単語の頭文字かと思うが、FZは「Floating Zone」の頭文字で、CZは「Czochralski」の最初の二文字である。

 学術用語でも韻を踏むことがあるようだ。

*1 LSI製造工程
*2 取扱商品(シリコーン)フレーム
*3 テープを支えるポリマー合成
*4 日清シスコ株式会社
*5 zetima Online
*6 Shin-Etsu Chemical Homepage
*7 ti-snow
*8 ti-snow
*9 The Silicon Journey
*10 単結晶インゴット製造技術の概要
*11 CZ単結晶
*12 CZ単結晶製造装置の概要
*13 コマツ電子金属 製品情報
*14 Article about Jan Czochralski

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