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20040522 さらさらバスマット(2)

 どうして足拭き絨毯の吸水性が悪い$${^{*1}}$$のか。一年ほど前に通信販売専門の店$${^{*2}}$$で買った足ふき絨毯$${^{*3}}$$の水の吸い取りが悪い。

 繊維の水の吸い取り性能は何で決まるか$${^{*4}}$$。素材自体の水の濡れやすさと繊維の構造による。繊維を構成する糸一本一本が水に濡れやすければ吸水性は当然高くなる。糸自体がそれ程濡れなくてもその糸が物凄く細く、それらが上手く束ねられていると糸と糸との隙間に水が取り込まれ易くなる$${^{*5}}$$。これによって水の吸い取り性能を高めることができる。

 濡れやすさは繊維の表面の微細構造と化学的構造とによる。表面がつるつるしているよりもざらざらしていた方が濡れやすい。ざらざらな部分に水が引っ掛かるからである。化学的に水に馴染み易くなっていると濡れやすい。化学的に水に馴染むとは水分子を引き付ける分子構造を持つ$${^{*6}}$$と言うことだ。

 購入した足拭き絨毯の材質はポリエステルである。ポリエステル自体の水を吸い取る能力は無茶苦茶悪い$${^{*7}}$$。木綿と比べと1/20である。もともとポリエステルは化学的に水となじみにくい$${^{*8}}$$のである。このままではお話にならない。

 上に書いたように、素材自体が濡れにくくても糸を細く$${^{*9}}$$したり糸の断面の形を工夫する$${^{*10}}$$などして細かい隙間を沢山作ってやれば水を吸い取る能力が高まる。吸水しても素材自体が濡れにくいので乾きやすい。これでいつも「さらさら」な繊維の出来上がりである。

 繊維の構造によって吸水性が高まっているはずなのだが、家にある足拭き絨毯は吸水性が非常に低い。足の裏の水分を殆ど吸い取ってくれない。そのかわり絨毯の方はいつも「さらさら」である。素材の性能が十分活かされているが、役に立っていない。

*1 20040521 さらさらバスマット
*2 カタログハウス
*3 セブンドリーム さらさらバスマット
*4 FB基礎講座/繊研新聞
*5 実験説明ページ 学校の理科の実験でおなじみの毛細管現象
*6 洗剤や界面活性剤の基礎講座
*7 やさしく学べる表示入門
*8  ■ 変糸 ■ かわりいと ■  ポリエステル繊維の歴史
*9 高吸水性タオル「カネボウコスモス」
*10 ユニフォームのUniform-Navi ユニフォーム入門Vol.3「ユニフォームに適した生地とは(素材編2)」

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