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20030625 人間原理

 「人間原理$${^{*1}}$$」というのがあるらしい。宇宙の年齢$${^{*2}}$$が現在160億年というのは単なる偶然ではない。宇宙の年齢を測ろうとする観測者が登場するまでに宇宙が出来てから160億年かかったのである。つまり宇宙の年齢はそれ以外の値をとることはなかったというのだ。これはアメリカの物理学者ロバート・ディッケ$${^{*3}}$$という人が言い出したらしい。

 この考えは、先日書いた「金で解決できないことはない$${^{*4}}$$」と何となく似ている。物事が解決するかどうかは当事者の考え方次第である。物事が実現可能かどうかということなどは関係がない。「人間原理$${^{*5}}$$」も当事者である人間自体が中心の理論$${^{*6}}$$である。他の自然の都合は関係ない。

 この人間原理という考え方そのものが出てきたのも160億年後というのも興味深い。「考え」というのは人間の活動に他ならないので、このことは当たり前といえば当たり前である。当たり前であるが、何やら宇宙に、そう考えろと言われて作ったような考え方なので面白い。

 宇宙が出来てから160億年後に人間が出現して、その人間が宇宙の年齢を知りたくなり、その方法を研究して計算してみたら「宇宙は160億歳」となった。人間が宇宙という概念を思い付いて、宇宙がいつからあるのかを考えるようになったのは必然なのか偶然なのかは知る由もないが、宇宙が人間を使って自分の生い立ちを知ろうとした、と考えているのだから奇想天外である。

 自分以外のことは本当は判らないので、全ては人間が中心と考えるのは仕方がない。これはどうしようもない。それにも拘わらず、そうではない宇宙全体の視点みたいなものがあって物理法則などのように全体を満遍なく支配している摂理があるような気がする。むしろそちらの方が人間中心と考えるよりも科学的な考え方のような感じがするが、このこと自体も人間が考えていることなので、「全ては人間が考えたこと」という前提を忘れて宇宙の摂理が存在すると信じるのは科学的ではない。

*1 宇宙情報 人間原理 ~人間中心の宇宙観~
*2 美星町 星のデータベース 宇宙の年齢
*3 Robert Henry Dicke, May 6, 1916—March 4, 1997 | By W. Happer, P. J. E. Peebles, and D. T. Wilkinson | Biographical Memoirs
*4 20030624 金で解決できないことはない
*5 On Anthropic Principle 人間原理について
*6 KATOU Toru's Article IV-4-8 宇宙は人間のためにある!?

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