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20030619 キャリパーとキャリバー

 よく混同する言葉で「キャリパー」と「キャリバー」とがある。「パ」と「バ」との字も発音もよく似ている。そもそも「キャリパー」も「キャリバー」も特定の分野でしか耳にしない単語だ。

 「キャリパー」は英語で「caliper」と綴る。辞書で調べる$${^{*1}}$$とカリパス$${^{*2}}$$のことであった。カリパスとは直接物差しを当てて測りにくい物の長さを測るコンパスのような道具の総称である。管の外径を測るのに適した形状のカリパスを「外パス$${^{*3}}$$」、管の内径を測るのに適した形状のものを「内パス$${^{*3}}$$」という。

 「コンパス」も「カリパス」もどちらも「パス」がついているが、英語の綴りはそれぞれ「compass」と「calipers」なので全く違う。日本語だと「コンパス」「カリパス」「内パス」「外パス」なので、皆「パス」の仲間のような気がしていた。

 私がよく聞くのはのディスクブレーキの「キャリパー」である。ディスクブレーキ$${^{*4}}$$は車軸に取り付けられた鉄製の円盤を強い力で挟むことによって車輪を制動させる。この円盤を挟む部分を「キャリパー$${^{*5}}$$」と呼ぶ。

 なぜディスクブレーキの円盤を挟む部分が「キャリパー」というようになったのか。円盤を挟むようになっているのが「外パス$${^{*6}}$$」で円盤の厚みを測る姿に似ているからだろう。

 「キャリバー」という言葉を私がよく見るのは時計関係$${^{*7}}$$である。本来は拳銃などの口径を表す。45口径ならば「45 caliber$${^{*8}}$$」らしい。時計の場合は外径もしくは等級$${^{*9}}$$という意味だろうか。

 もともとcaliperはcaliberが変化した言葉$${^{*10}}$$らしい。caliberを測るためのコンパスでcaliber compassがcaliperになったようだ。道理で混同し易いはずだ。

*1 cal・i・pers - goo 辞書
*2 Outside Caliper — Flexbar Machine Corporation
*3 caliper. The American Heritage Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
*4 ホンダ二輪フィル メカ講習【日常点検のポイント】
*5 ブレーキ講座
*6 Rantek Precision Enginnering Tools > Hand Tools > Outside Calipers
*7 Swiss Watches - The Zenith Pages: Caliber El Primero 410
*8 The 45 Colt
*9 cal・i・ber, cal・i・bre - goo 辞書
*10 caliper | Origin and meaning of caliper by Online Etymology Dictionary

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