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20000827 ジストマ

 人間の肺や肝臓に寄生$${^{*1}}$$するジストマ$${^{*2}}$$の一生は変化に富んで面白い。卵から孵って成体になるまで同一の個体で暮らすのではなく、世代が何代か入れ替わる。

 卵から孵ったジストマの幼体は、体の周りに繊毛を持っていてこれを使って水中を泳ぎまわり第一の宿主の淡水産の貝にもぐり込む。もぐり込むと体の皮が脱ぎ捨てられ、体の形が袋状に変形する。

 この袋状の幼体の中に次の世代の幼体が多数発生する。この発生した次世代の幼体はそれまでの世代の幼体と少し形が違っていて円柱形でその先端には口と短く行き止まりになっている腸とがついている。この幼体は袋状の幼体から這い出てくる。この時はまだ貝の中に棲んでいる。成長するとこの幼体の中にまた次の世代の幼体が多数発生する。

 次の幼体は更に形が違っていて丁度オタマジャクシのような形をしている。ある程度成長するとこのオタマジャクシがまた前の世代の幼体から這い出てきて、今度は水中に泳ぎだして淡水産の魚類の筋肉などに潜り込んで人間に食べられるのを待つ$${^{*3}}$$。

 これを人間にたとえるとすさまじい。まず赤ん坊の頃に、はいはいしながら誰かの家に潜り込む。すると急に服を脱いで達磨のようになって床の間などに座り込む。何カ月かするとその達磨が大きくなってくる。ある日、達磨の頭が割けて中から小学1、2年ぐらいの姿をした子供が数人出てくる。するとこの小学生はそのまま家に居座り続け、だんだん成長する。成長するが顔や体型はそのままでただ大きくなるだけである。暫くするとするとその巨大化した小学生の腹が割けて中から大学生が何人か出てくる。この大学生は家を出てブラブラして何処か居候する家を探す、といった具合だ。

*1 寄生生物学入門
*2 Biology 546 - Figure 3
*3 HUMAN PARASITOLOGY LABORATORY

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