20000422 象
「象」という漢字は六書$${^{*1}}$$で言えば「象形$${^{*2}}$$」である。事物の形を直接に漢字にしたものが「象形」と言われる。つまり象の絵から「象」という漢字が出来上がった。馬や亀や牛と同じ類である。
「象」を「ぞう$${^{*3}}$$」と読むときはゾウ目に属する哺乳動物を意味し、「しょう」と読むときには形とか姿を意味する。象形は物をかたちどることなので「ぞうけい」ではなく「しょうけい」と読む。「ぞう」も「しょう」も音読みで「象」の訓読みはない。「ゾウ」はもともと日本にはいないので「象」に当たる和語が無いからである。
同じ漢字で読み方によって、具体的な動物の名を表したり、「かたち」と言う抽象的な概念を表したりする珍しい漢字だと思う。動物のゾウと「かたち」という概念はどのように結びついたのだろうか。
その動物の特性や行動から別の物の性質を場合がよくある。蛇や犬などは動物そのものではなく、その性質のみを人に対して表すのによく使われる。これらはその動物を見ていれば、どうしてそういう意味で使われているのかがよく分かる。
しかし地上最大の動物のゾウ$${^{*4}}$$を見てどうやって「かたち」という概念を表そうと思ったのだろう。
単に大きいかたち$${^{*5}}$$だったからだろうか。
*1 文字と書体の豆知識《雑学編》
*2 『民俗學について・第二柳田國男對談集』より「象形文字と音標文字」
*3 ゾウ保護基金
*4 アジアゾウ
*5 アフリカゾウ