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20000817 一日の始まり

 一日の始まりはいつか。一日は太陽の運行を基に決めている筈だから、太陽の動きが基となって始めと終わりが決められているであろう。太陽が南中になった時刻付近を一日の真ん中としたくなるのが人情だからその対極の真夜中が一日の終わりであり、その次の瞬間が一日の始めであろう。現代の暦では一日の始まりである午前0時は南中の対極である真夜中に設定されている。

 「夕べ」という言葉から、かつて一日の始まりは真夜中でも日の出でもなく、夕方から一日が始まる認識であったという説がある。「タベ(たべ)」ではない。「夕べ(ゆうべ)」である。つまり一日は昼夜の順番ではなく「夜」「昼」であったということだ。

 それは「ゆうべ」という言葉には「夕方を一日の初めとした前日」の夕方の意味にも用いることがあるからだという。現代では「真夜中を一日の初めとする前日」の晩、つまり「昨晩」である筈の時刻がこの用法では同日となる。つまり「ゆうべ、変な夢を見た」と昼間に話している人にとっての「ゆうべ」は、話しをしている時点では同日ということなのだ。更に一昨晩のことを「きのうばん」という地方もあるらしい。現代で言う「昨晩」は、昔は夕方を起点にしているから「今日の晩」であった。従って現代で言う「一昨日の晩」は「昨日の晩」になる。「おとといばん」にはならない。昔の一日の始まりの考え方が方言に残っている。

 だからかつては一日の起点は「ゆうべ」であったというのだ。でも何となく変である。昔から一日の時刻は真夜中から始まっている。丑三つ時というのも時刻が真夜中の「子」から始まって二番目の時だからまだ夜中である。因みに「三つ」とは一日を12分割した「一時」を更に4分割した時間を「一刻」と言い、その三つ目の刻という意味である。
 日が暮れて太陽が沈むのを見てこれが一日の始まり感じるのはなかなか無理のような気がする。

 でもイスラム教では日没が一日の始まり$${^{*1}}$$のようなので、必ずしもそうとは言えないないのだろう。

*1 用語事典(暦法名)

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