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20030504 プッシュホン計算機

 野口悠紀雄$${^{*1}}$$氏の『「超」整理法$${^{*2}}$$』という本を読んでいたら、プッシュホン計算機のことが書いてあった。

 NTT$${^{*3}}$$が電電公社$${^{*4}}$$だった頃、プッシュホンを使って電卓のように計算をすることが出来た。このサービスが始まった頃$${^{*5}}$$は電卓がまだ一般には普及していなかったのか。それとも電卓の鍵盤とプッシュホンのボタンがよく似ているから思いついたサービスなのだろうか。

 身近に電卓がない頃、計算が必要な時には算盤を使っただろうから、特に「電話で計算ができる」というありがた味は少ないように思える。それに当時、プッシュホンが導入できる経済力があれば電卓ぐらい買えそうな気もする。一体、誰を対象に始めたサービスなのかよく判らないが、少なくとも一般家庭でないことは確かだろう。

 中学か小学生の頃、実家の直ぐ隣に琴を作る工場があった$${^{*6}}$$。私はここに入り浸っていた。その工場にはプッシュホンがあった。ある日、工場の主人は「この電話で計算が出来る」と教えてくれた。やってみなさいというので、手引き書を見ながら計算をやってみた。四則演算だけではなく平方根も計算できた。平方根を知っていると言うことは、その頃私は中学生だったかも知れない。

 答えは女性の声で返ってきた。答えが「14142」であれば「イチヨンイチヨンニ」となったと思う。面白がって何度も試していた。

 後日、その工場へ行ってまたプッシュホン計算機やらせて貰おうと思って主人に声を掛けた。するともう駄目だと言う。一回の計算で100円取られたらしいのである。請求書が来てびっくりしたようだ。私が使うまで主人も自分では一度も試したことはなく、今回が初めての「プッシュホン計算」の請求だったらしい。

 私が中学生の頃であれば、電卓は当たり前の道具となっていたので、工場の主人も「プッシュホン計算」は使う必要は全くなかったのだろう。そもそも中小の事業所でも電卓がなければ算盤$${^{*7}}$$もしくは機械式計算機$${^{*8}}$$を使うのだから、やはり「プッシュホン計算」はいらない。一体、誰が使っていたのだろう。

*1 20030403 正確さと判り易さ
*2 超整理法(野口悠紀雄):書評
*3 NTT Home Page
*4 NTT HOME > 会社案内 > 会社概要
*5 NTT DIGITAL MUSEUM ホームページ プッシュホン登場
*6 20021129 琴
*7 20000624 一休さん
*8 手回し計算機、手動式計算機、機械式計算機と呼ばれた、タイガー計算器です

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