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採用動画の作り方を動画ディレクターが図解!まず決めるべき3項目【事例付き】

記事の目的

ご覧いただきありがとうございます。
私はキャリアコンサルタント兼動画ディレクターで企業のCM制作に携わっていた経験をキャリア支援の領域で活かし、企業に対して「採用動画」のお手伝いをしております。

この記事では、
・そもそも採用動画とはどんなものか?
・採用動画の種類や役割は?
をまとめた上で、「うちもそろそろ採用動画」となった際に、制作会社にオリエンする前に決めておくべき3つの要素を説明いたします。
初めて採用動画を作ろうとしているご担当の方に、これを読めば、必ず成果物のクオリティが良くなる内容になっています。長編ですがお付き合いください。

採用動画とは

まず採用動画の基本的な説明をします。

採用動画とは、採用活動を行う企業や団体が、その募集のために利用するコンテンツのひとつです。会社紹介や社員インタビュー、オフィス紹介、事業方針説明などを動画で制作し、セミナー、公式ホームページ、採用メディア、SNSなどで応募を募るために配信するコンテンツ手法です。
説明会がリアルで催せなくなった昨今では、オンラインで伝えられ、かつ情報量が多いことから、より重要な媒体となっています。また、Z世代向けへのPR力の強いSNS上でのコンテンツとしても活用が進んでおり、その活用範囲は広がっています。

採用動画の種類

主な種類としては

・会社説明
会社の概要、事業内容、遍歴、ビジョンや募集内容など、会社全体の理解をしてもらうための説明動画。

・職場紹介
オフィスや工場、店舗など、働く現場の紹介動画で、職場の雰囲気をつたえるもの。

・代表メッセージ
経営者自ら出演し、会社の紹介、将来ビジョンや欲しい人材をインタビュー形式で伝えるもの。

・社員インタビュー
働く社員にインタビューをするもの。実際に働いている方に聞けるため信憑性が高く、かつ働いてる人の雰囲気もつたわる。

・説明会動画
リアルの説明会で説明する内容をオンラインでもみれるようまとめたもの。人事が資料と一緒に説明するものが多い。

・座談会
社員が複数で会社について話し合っているインタビュー動画。1人のインタビューよりそれぞれの関係性や本音が見える内容にするケースが多い

など多岐にわたります。一言で「採用動画」といっても、採用目的によって変わってきます。目的に沿って作成する採用動画の種類を考える必要があります。

採用動画の目的

その採用動画の目的としては、

・知名度の向上
会社自体をまずは知ってもらうこと。toB領域の普段あまり接さない会社で重要。

・イメージ向上
伝えたいイメージに沿って動画をつくるもの。忙しそう、きつそう、など一般的にイメージが悪い業界の会社で重要。

・安心感の醸成
人事制度、福利厚生、研修制度など応募者が不安に思うところを伝えることで安心感を伝える動画。

・ミスマッチの防止
入社後にギャップを感じて離職してしまうミスマッチを防ぐために、あえてリアルな内容をを伝える動画。

などが挙げられます。
現在の会社の状況、採用環境、採用課題などによって目的が変わってきます。

悪い採用動画のオリエン

では、この表を踏まえてすぐ採用動画が作成できるか、というと実はそうではありません。

と言うのが、動画ディレクターはかなり細かいところまで考えて動画を作成するからです。以下大枠の手順となっているからです。

・目的・ターゲット・配信媒体を整理する
・メッセージ・コンセプトを決める
・動画の長さや表現方法を決める
・構成の材料になりそうな参考動画を探す
・動画の構成は簡単な「絵コンテ」を作ってみる
・・・・・
となります。

例えば、インタビュー動画を作る場合も

・どんな方にインタビューをするのか?
・撮影場所はどこで?
・どんな質問をぶつけるのか?
・動画のテイストはシリアス?明るい?
・BGMはどんなものにするか?
・動画の長さは?

など、多くのことを決めなくてはいけません。
仮に人事担当者が、

「うちもそろそろ採用動画を作ってみようと思って。競合がやっているような社員インタビューを、知名度の向上のために作って欲しい」

という曖昧なオリエンをした場合、動画ディレクターは困ってしまいます。「知名度の向上」ひとつとっても、
「どのような知名度を向上させたいのか?」
「どんな人たちに知名度を向上させたいのか?」

と動画構成の段階に行くまでに、情報量が足りなすぎることになります。
置かれている企業の採用状況環境、狙いたい人材、その上での課題など、細かく分析をして、それに沿った詳細の目的を設定すべきかと思います。

決めて欲しい最低限の3つのこと

キャリコン兼動画ディレクターとして、そこで最低限決めて欲しいことはこの3つです。

①欲しい人材はどういう人ですか?(For whom)

②何を伝えたいですか?それはなぜですか?(What/Why)

③どうやって伝えたいですか? (How)

簡単にいうと「誰に、どんなことを、どうやって伝えたいか?」ということです。

①欲しい人材ですが、新卒なのか中途なのかという大きな区分に加え、価値観、能力、性格などによって動画構成が変わってきます。入社後活躍している人材の傾向がある程度出ている場合、似た人材をターゲットにすべきです。

②どんなことを伝えたいか、は動画構成の重要なヒントです。
例えば、直近の採用活動の課題が「定着率」だった場合、伝えるべきことはその原因を解決するメッセージであるべきです。
また、入社前と入社後のギャップが大きいのであれば、実際の職場の様子や社員のインタビューを行うべきです。
また、「応募数自体が増えない」という課題だった場合、会社の将来のビジョンや可能性を代表メッセージで伝えるなど、アプローチが変わってきます。

③どうやって伝えるか?については、動画の作り方に大きく関わってきます。説明会で上映するのか、ホームページで見せるのか、SNSで見せるのか、によって動画の尺、映像の大きさ、解像度、使用する機材にも関わってきます。

キャリアコンサルタント兼CMディレクターが実例で解説

とはいっても、初めての動画制作。なかなかイメージしにくいと思います。そこで、実際の事例を踏まえてご説明したいと思います。
美容系サロンを複数店舗展開されている会社の採用動画のお手伝いをしました。具体的な企業がわからないように、内容は大きく丸め、抽象度の高い内容になっています。実際にはもっと具体的に組み立てます。

まず行ったコンサルティング内容としては、

・Step1:欲しい人材、活躍している人材を言語化してみる

・Step2:今の採用活動での課題を明確にする

・Step3:欲しい人材が考えていることを想像して彼らへのメッセージを考える(デザイン思考で分析)

という3つのStepを丁寧に踏んで進めています。

実例:採用ターゲット設定

Step1の採用ターゲット設定では、複数回MTGを行いまして、人事担当と社長にも同席していただきました。
具体的に以下のような質問項目に沿ってヒアリングをさせて頂きました。


ジョブマッチングのスキル面だけでなく、性格や価値観、またカルチャーマッチングという、組織文化との適性も整理することが重要です。仕事はできても、会社になじまずすぐ辞めてしまうミスマッチ防止にもなります。

これらの質問項目を使って、まずは、なにより、ターゲット像、欲しい人材を言語化することが重要です。

もちろん、欲しい人材を1つのペルソナでまとめことに無理がある、という意見もあるかと思います。
ただ、今回はあくまで「採用動画を企画する上で必要な要素」となります。
ターゲットをあえて狭く設定することで、動画の企画を作りやすくする、という目的です。
多様な人材を採用したい、という方針も多いに結構です。それは採用計画となり、今回の「採用動画を作る際に必要な項目」とは異なることをあらかじめお伝えしておきます。

みなさんがよく見るCMを思い出してください。
ついつい目に留まるCMは、メッセージが明確なものではないでしょうか?
ターゲットが明確だからこそ作れるのです。

改めて会社が欲しい人材を一人のペルソナとして明確にして、と言われると難しいと思いますので、
「今、会社で活躍している具体的な人物を思い浮かべてください」というと答えやすくなります。

最終的に、お手伝いした会社では

約3年のキャリアの「美容系」への転身を考えている方で、美容好き、コツコツ、真面目な勉強家。

というターゲットに言語化できました。

実例:現状の採用活動について整理

続いて、Step2で現状の企業の採用活動について整理をいたします。

Q:採用の課題はなんですか?

Q:欲しい人材が集まらない理由は?

Q:どんなコンテンツがあればより欲しい人材が集まると思いますか?

という3つの質問をさせて頂きます。
ストレートな質問ですが、これによって採用動画で何を伝えるかの、なぜ、の部分が明確になります。課題があるからこそ、伝える事がきめやすくなります。
結果、担当した会社では

狙っているターゲットが、敬遠してしまっている、「敷居の高いイメージのギャップ」

という課題が浮かび上がりました。

この課題をヒントに動画企画していきます。

実例:ターゲットの分析

最後にStep3では、Step1で言語化した「狙いたいターゲット」について、続いてStep3ではデザイン思考という手法をつかってターゲットを深く分析します。
ただし、Step3のターゲット分析については、テクニックが必要な作業ですので、専門の動画ディレクターが入って行う領域になるかと思います。
制作会社など外注する場合は、Step2までで十分かと思います。Step3は、専門家と一緒に行っていく作業になります。

デザイン思考とは、シリコンバレーで誕生した創造的な問題解決のためのプロセスで、問題解決のための思考法です。
欲しい人材をイメージし、できるだけその人の立場になって、抱えている問題、悩み、行動を分析していく作業です。
手順は以下の通りです。

・上記の「欲しい人材」にとって転職する上での課題は?
・顕在ニーズ(欲しい人材の転職ニーズ)
・潜在ニーズ(言われてみればわかるニーズ)
・インサイト(本人も気づいていない欲求やニーズ)

ここで大事なのは、最後のインサイト。
本人も気づいていない欲求やニーズが明確になると、自ずと動画で伝えるべき構成が決まってきます。

例えば今回の実例ですと

インサイト:ひとりひとりに寄り添える「美容スペシャリスト」へ転身することに対する決意の背中を押して欲しい。

となりました。このインサイトに自ずと動画で伝えるべき構成が決まってきます。
このインサイトに刺さるメッセージが、採用動画の企画の重要なポイントになります。

結果的に、今回お手伝いする会社の採用動画のコンセプト、企画骨子は以下のようになりました。

・コンセプト:ひとりひとりに寄り添える「美容スペシャリスト」への転身の背中を押し(応援し)てあげる。
・動画企画:「私の美容転身ストーリー」と題して転職をして活躍している社員インタビューする

サービス紹介

ちなみに、今回のStep1,2,3の採用動画の企画作業については私が提供しております。
最後に僭越ながら、サービスの紹介をさせて頂きます。
実際に今回ご紹介した美容系会社の人事の方との打ち合わせの様子を少しお見せします。

ご興味のある方は是非こちらのサービス紹介ページをご覧いただき、お問い合わせください。

簡単なご相談からでも結構です。

まとめ

採用動画とは、採用活動を行う企業や団体が、その募集のために利用するコンテンツのひとつです。

その目的は、
・認知度向上
・イメージ向上
・安心感の醸成
・ミスマッチ防止

その種類は、
・会社説明
・職場紹介
・社員インタビュー
・代表インタビュー
・説明会動画
・座談会

ただ、採用動画を制作オリエンする際にはもっと細かくその目的を決めないといけません。
最低限必要な3要素は
①採用ターゲット
②何を伝えたいか、それはなぜか
③どうやって伝えるか

この3つを考える上で弊社の実例でのSTEPは3つです。
・Step1は採用ターゲットの言語化
そのために、優秀な社員を思い浮かべて、ジョブマッチング(スキル、価値観、性格)とカルチャーマッチング(価値観、キャラクター)の両方を言語化します。

・Step2は採用の課題の整理
現在の採用活動の課題は?狙っているターゲットが集まらない理由は?どんなコンテンツがあれば解消される?の3つの質問をすることで課題を抽出していきます。

・Step3はデザイン思考でターゲット分析
デザイン思考とはターゲットの立場になりきって、その人が抱えている顕在ニーズ、潜在ニーズ、インサイトを想像していく作業です。この作業でターゲットが気づいていない欲求やニーズ=インサイトまで考え抜ければ、自ずと採用動画で伝えるべき方針が決まってきます。

Step3からは専門家に依頼することをお勧めします。

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