街が花で埋まる日・ブリュッセル
その街の中心は2年に一度、花で埋め尽くされる。
それはちょうど今週末のことである。
今回は、前回に続いてベルギー・ブリュッセルの街について、フラワーカーペットに沸く様子を取り上げたい。
ブリュッセルはこんな街
前回の記事に譲る。
フラワーカーペットとは
フラワーカーペットとは、ブリュッセルの観光ハイライトとも言える世界遺産の広場・グランプラスで2年に一度行われるイベントである。
フラワーカーペットの名の通り、グランプラスに70m×24mつまり1680㎡に渡って花で作られた絨毯のごときアートが現れるのである。
ブリュッセルで初めてフラワーカーペットが行われたのは1972年のこと。
各地で多くのフラワーカーペットを手掛けたベルギー人造園家のエティエンヌ・スタウテマスの手によって制作された。
その後も彼の弟子たちを中心としたチームによって毎回様々なテーマのデザインで美しい広場を鮮やかに彩っている。
海底の旅
私がイギリスにいた2016年は、ちょうどフラワーカーペットの開催年であった。
そこで8月の週末を利用して、日帰りでブリュッセルを訪れる計画を立てたのであった。
ブリュッセルまでは国際特急列車ユーロスターを利用することにした。
ユーロスターといえばロンドンとパリを結ぶイメージが強いが、ブリュッセルやアムステルダムなど他の都市とも結ばれているのである。
週末ユーロスターのストライキがあるらしいというニュースを耳にし、密かに焦っていたものの、予定通り列車は運行される運びとなった。
朝早くに向かったのはセント・パンクラス国際駅だ。
1868年に開業した駅はネオゴシック様式の建築がイギリスでも屈指の美しさを誇る駅である。
国際駅にふさわしい立派なトレインシェッド(ホームと線路を覆う屋根)だ。
なお、セント・パンクラス国際駅は「パンツ姿で公共の場所に集まった人数116人」という趣旨の分からないギネス記録の舞台でもある。
ヨーロッパ内を走る国際列車の多くは、シェンゲン協定を結んでいる国同士の行き来であるため、国内の列車と同じように特に意識することなく列車に乗り込める。
一方でシェンゲン協定を結んでいないイギリスの国際列車では、パスポートコントロールが行われる。
手間ではあるが、これから電車で国境を超えるのだ、ということが感じられるのは長所とも言える。
いよいよユーロスターに乗り込み約2時間。
寝落ちしていたらいつの間にかドーヴァー海峡を超えていた。
そしてあっけなく列車はブリュッセル中央駅に到着した。
花の絨毯
早速グランプラスに向かって歩みを進める。
世界最古のアーケードと言われるギャルリー・サンチュベールもお祭りムードだ。
そしていよいよグランプラスへ。さすがの賑わいである。
そしてその中心には1680平米の巨大な花のパズルがある。
しかし、いかんせん巨大なため、地上からだとなかなか全景がつかめない。
向かいの市庁舎の上から見てみるのが良さそうだ。
早速一般開放されている市庁舎へと向かう。
行列に並び、待つことしばし。ようやくその全景と対面することができた。
鶴が舞い、鯉が泳ぎ、松や竹や桜が佇む。
そう、この年のテーマは日本だったのである。
2016年はベルギーと日本の国交樹立から150年の節目に当たる年であり、それもあって日本をテーマとしたデザインとなったそうである。
花鳥風月をモチーフとしたこのデザインは日本人デザイナーの手によって描かれたものが採用されている。
フラワーカーペットにはベゴニアの花を中心に約60万本の花が使われている。
さぞや時間を掛けて描かれているのかと思いきや、100人のボランティアの手によってわずか6時間以下の時間で一気に作り上げられるそうだ。
洋風の優雅な建築と、和が表現された花の絨毯が調和する、どこか不思議な光景であった。
Hard Rock Calling!
ところで私はご当地ハードロックカフェのピンバッジコレクターでもある。
ブリュッセルの街には2012年にオープンしたハードロックカフェがある。
前回訪問時にはまだ開店していなかったため、このタイミングで立ち寄ることにした。
グランプラスからすぐのところにブリュッセル店はある。
吹き抜けの壁に所狭しと楽器が散りばめられたモニュメントがハードロックカフェらしい。
今回は食事は取らず、グッズだけを購入するとそそくさと店を後にした。
別のレストランで食べたラムのタンシチューが大変美味であったことが印象に残っている。
ブリュッセルのマグネット
ブリュッセルのマグネットがこちら。
フラワーカーペットが彩るグランプラスと、中心には名誉市民の小便小僧である。
前回記事でマグネットを載せていなかったのはネタバレになるためであり、無事今回公開の運びとなった。
なお、マグネットで描かれている、夜のフラワーカーペットではライトアップや花火のパフォーマンスも行われるそうで、せっかくならば夜の姿も楽しみたいものである。
写真を見てしまうと、日帰りで帰ってしまったことが若干悔やまれる。
そしてハードロックカフェ・ブリュッセルのピンバッジがこちら。
同じくフラワーカーペットである。
期間中に訪れて、他のデザインを選ぶという選択肢があろうか。
今年、2022年はフラワーカーペットの開催年であり、前回2020年がコロナ禍で中止となったため、4年ぶりにグランプラスが花の絨毯で覆われることになる。
フラワーカーペットの50周年となる今年は、原点に帰るをテーマに、初回と同じアラベスク模様が描かれるそうである。
この週末は、遠く異国の広場が鮮やかなベゴニアで彩られる姿に思いを馳せたいものだ。
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