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痔の治療を通じてマーケティングについて考えた

マーケティングと医療は似ていると私は何度か書いていますが、4月に痔が悪化して病院に行ったとき、それを考える出来事がありました。


痔の手術

軽症の外痔核なので、医師からは「軟膏を塗るのと切除する、どちらの治療もできるけどどうする?」と聞かれましたが、私はこれに丸投げな印象を受けました。医療は患者の自己決定権に基づいて行われるので(インフォームド・コンセント)私に判断を委ねられるのは理解できるのですが、痔に詳しくない私は「どうする?」と聞かれても判断が難しかったからです。結局、いきなり手術は怖かったので様子見で軟膏を選択しました。

その後、軟膏が切れて痛みが再発したため再診を受けました。この際も「再度軟膏を出すことも手術もできるけど、どうする?」と判断を委ねられましたが、軟膏を塗り続ける→切れたら再処方ではきりが無いと感じたので、手術を選択しました。

前述の通り、治療方法を意思決定するのは患者であり、医師が患者に決断を促すこと自体は正解です。しかし、病気や治療方法に詳しくない患者からすると、治療方法を複数提示されても判断できないことがあります。そこで、医師は患者に以下の情報を説明するのが親切ではないでしょうか。

治療法のメリット、デメリット

例えば、「軟膏だと安価だが完治するかは分からず、手術は完治するが入院が必要なので、お金や時間のコストが高くつく」がメリット、デメリットの説明になるでしょう。

選択のポイント

中には治療方法AもBもメリット、デメリットが相応にあり、甲乙付け難いものもあるでしょう(特にがんなど重篤な病気の場合)。その場合は、選択のポイントも説明してあげると親切でしょう。例えば、「いきなり手術はリスクが高いので、まずは軟膏で様子を見ると良い」「軟膏で治らないなら入院をおすすめするが、お金やスケジュールが都合がつくかは検討したほうが良い」のようにです。

重要なのは、あくまで選択のポイントを「提案」するのであり、「強制」ではないことです。中には「様子を見るよりも、リスク込みでさっさと手術したいです」「手術はどうしても怖いので軟膏を塗り続けます」という患者もいるでしょう。医師は医学的な見地から選択のポイントを提案し、患者は自分の価値観から選択をすれば良いのです。

クライアントワーク

ここでマーケティングに話を変えます。

クライアントワークの場合、広告代理店やコンサル会社などの支援会社が施策を提案し、クライアントが意思決定することが多いと思います。これは医師が治療方法を提案し、患者が意思決定する関係と似ています。

施策を進める中で複数の選択肢が登場した場合、マーケティングリテラシーの低いクライアントは質問されても選択できない恐れがあります。例えば、「リスティング広告の遷移先としてLP1とLP2があり、訴求内容やトンマナが大きく違いますが、どちらにしますか?」と質問したとしてどちらにすべきか分からないでしょう。その場合、支援会社は選択肢のメリット、デメリット、選択のポイントなどを説明すべきです。

選択肢のメリット、デメリット

例えば、「LP1だと課題訴求なのでリード数が増えますが潜在層が多く、LP2だと事例訴求なのでリード数が少ないですが顕在層が多くなります」がメリット、デメリットの説明になるでしょう。

選択のポイント

「別媒体でLP1の成果が良かったのでLP1から試し、成果が悪かった場合はLP2に差し替えることをおすすめします」のように、マーケティングの見地から選択のポイントを提案すると良いでしょう。マーケティングの場合はABテストがあるので両方試すこともできますが、中には片方ずつ試したほうが良いときもあります(n数が少なく、有意なABテストにならないなど)。


私のマーケティングの仕事については下記の記事をご覧ください。

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