「LPの平均CVRっていくつですか?」平均値を答えることの難しさ
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デジタルマーケティングの仕事をされている方なら、一度はこういう質問を受けたことがあるのではないでしょうか? 何気なく聞かれることが多いですが、実は答えるのが非常に難しい質問です。
個人の「肌感覚」に依存する
世間では「LPのCVR平均」なるものがまことしやかに語られますが、これは統計に基づく数値ではなく、その人が業務で培ってきた経験値、はっきりいえば「肌感覚」の数字がほとんどです。当然、人によって「肌感覚」は異なりますから、人によって平均値がブレます。
例えば、昔某BtoB SaaS企業の担当者と打ち合わせをしたときのことです。LPの平均CVRの話を聞かれたので、「1〜3%ぐらいでしょうか」と答えたところ、「思ったより低いですね」といわれたことがあります。その企業のサイトを解析したところ、確かにCVRが8%ぐらいありました。
「その担当者がLPOをがんばっている成果だ」といいたいところですが、実はそうではない。下記のような条件が揃っていたためです。これなら、確かにCVRはかなり高くなります。
LPの流入経路は、ほとんどが指名(サービス名)の自然検索か、社長の紹介
フォームの項目が少ない(名前・メールアドレス・会社名のみ。部署名・役職名・問い合わせ内容などは無い)
誤解が無いように補足しますと、「この担当者が間違っている」といいたいわけではない。こういった条件の中で仕事をしていると、「CVRが8%ぐらいあって当然」という「肌感覚」になるのは当然のことです。
数値に影響を与える変数が多い
平均値を答えることが難しいもう一つの理由は、数値に影響を与える変数が多いことです。例えば、LPのCVRに影響を与える変数は、ぱっと数えてもこれだけあります。
業界
企業の知名度
オファー内容(資料請求、問い合わせ、セミナーetc.)
コンバージョンまでのページ数
流入経路(自然検索のみ、リスティング広告、SNSetc.)
フォームの入力項目
メインコピー
CTAボタンの文言
変数を一つ変えるだけでもCVRが大きく変化するので、LPごとのCVRのブレが大きく、「平均値」を出しづらいのです。
マーケティングには偏差値が無いから「平均値」を知りたい心理
平均値とはこれほどブレやすいものなのですが、それでも平均値を質問してくる人は後を絶ちません。
おもしろいのは、平均値を知りたがる人は、ほとんどの場合「商材やLPによるとは思うのですが……」などと前置きをした上で質問してくることです。「分かっているなら聞くなよ」と思ってしまいますが、不正確と分かっていても、平均値を知りたいのでしょう(BtoBマーケティングのプロである才流の栗原さんも不正確は承知の上で平均値が知りたいとおっしゃっていました)。
なぜ平均値を知りたくなるのかというと、自分の偏差値を知りたい受験生の心理に似ているのだと思います。
受験生は定期的に模試を受けて、自分の偏差値を知るわけですが、その理由は「自分が志望校の合格に向けてどれぐらい進捗しているか知りたい」からです。偏差値を知ることで、受験生の中での自分の位置づけや合格へのギャップを判断し、今後の勉強に活かします。
厄介なのは、受験勉強と違って、デジタルマーケティングには「志望校」も「模試」も存在しないことです。正確には、会社のビジョンごとに「志望校」が違うので、目指すべき「偏差値」が違う、というべきでしょうか。地元密着でこじんまりと経営する企業なら偏差値55でも問題ありませんが、世界にイノベーションを起こす企業なら偏差値70を目指すべきなのです。
その意味では、自社のマーケティングが目指すべき「志望校」、そこに合格するための「偏差値」を教えてあげることが、マーケティングをしている人間の仕事なのでしょう。
私のマーケティングの仕事については下記の記事をご覧ください。
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