KPIのカニバリを防ぐ
マーケティングやセールスの指標には、一方が上がると他方が下がるというシーソーの関係が存在します。例えば、Web広告で配信ターゲットを潜在層に広げるとインプレッションやクリックは上がりますが、CTRやCVRは減りがちです。また、商談数を増やすために導入確度の低いアポを取ると受注率は下がります。
これ自体は自然な現象なので問題無いのですが、シーソー関係にある指標A、Bを部署(または担当者)A'、B'のKPIに設定した場合、一方がKPI達成のために努力するほど他方を妨げるというKPIのカニバリが発生します。例えば、The Model型組織で以下のようなケースを考えます。
マーケティング(KPI:リード数)
インサイドセールス(KPI:商談化率)
フィールドセールス(KPI:受注率)
マーケティングがKPI達成のためにホワイトペーパーなどの潜在リードを増やし始めたとします。商談化率=商談数/リード数なので、商談化しづらいリードが増えるほど商談化率が下がってしまいます。また、インサイドセールスが商談化率を上げるために受注確度が低い商談を増やした場合、受注率=受注数/商談数なので受注率が下がります。
そこで、以下のようにKPIを変更するとどうでしょうか。
インサイドセールス:商談化率→商談数
フィールドセールス:受注単価→受注数
商談数はリード数とのシーソー関係がゼロではありませんが、商談化率に比べると弱めなので、マーケティングがリード数を増やしても商談数との直接的なカニバリは少ないでしょう(受注数も同様)。これはKPIを割合から実数に変更したためです(割合とは指標の比較で計算されるものなので、シーソー関係が強くなりやすい)。
今回はBtoBの例を挙げましたが、BtoCでも同じことが発生します。例えば広告担当が流入数、CRM担当がCVRをKPIにしている場合、流入数を増やすほどCVRが悪化してしまうので、CV数などに変更すると良いでしょう。
重要なのはカニバリが起きたときに各部署で上手く調整することではなく、カニバリを起こさないようにKPIを設定することです。各部署の連携が上手くとれていないと感じたらKPIを見直すと良いでしょう。
私のマーケティングの仕事については下記の記事をご覧ください。
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