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㊽【事業再生コンサルティングとは?】地方在住の経営コンサルが地方在住の経営者のために書くブログ。

写真は岡山地方裁判所です。私の学生時代は建て替え前でした。講義の一つとして刑事裁判を傍聴したことがあります。

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これから増加する事業再生フェーズの企業

年商10億円規模までの中小企業の事業再生は今後、雨後の筍のようにどんどん増えて、顕在化してくると予測しております。なぜならば、シンプルに、内需が数年前の水準に戻る見込みが薄いからです。

ですから、企業経営者としては「事業再生」フェーズに陥らないことがベストですが、もしそうなったとしても何をどうしていくのか、「事業再生」の基本的な考え方を知っておくことは必要だと感じます。

そこで今回は無数にある事業再生の手法の中で、オーソドックスな概略とおおまかなプロセスを説明しようと試みます。

事業再生はどうなったら成功か?

「事業再生」という言葉にピンと来ない方も多いと思います。

簡単に定義するならば、

貸借対照表が債務超過から資産超過の状態になること。

となります。

【イメージ図】

画像2

そして更に、損益計算書で言えば、

・営業利益ベースで3期連続黒字化達成

・債務償還年数が15年以内に収束

すれば、事業再生は一定の成功という水準と考えられます。

更に欲を言えば、健康優良児的な企業としての「当たり前」の水準について述べますと以下になります。

①営業CFが3期連続黒字
②総資産経常利益率5%以上
③当座比率120%以上
④在庫月商1か月分以内
⑤借入月商倍率3か月以内(業種・業態による)
⑥経営者の連帯保証が入っていない
⑦社長貸付金ゼロ
⑧過去5年間、重加算税無し

異論は多くあろうとは思いますができる限り簡潔に説明しようとしておりますのでご容赦ください。

まず何をするの?

一文で述べるとすれば、

「止血と輸血です。」

企業を人間の体に例えるとわかりやすいです。

つまり、

「支出をできる限り抑え、新たな資金を注入する。」

ということになります。「言うは易し、行うは難し。」ですが、そうしなければ瀕死の企業は「死」あるのみです。

明確な定義はありませんが、

倒産とは、資金が枯渇し、事業が停止してしまうことです。

我々のようなコンサルタントはまず、当該企業が「死」をむかえないための救命救急治療を施すべく、ありとあらゆる知恵を張り巡らし、手段を提案します。

一旦、小康状態まで息を吹き返し、多少の時間の猶予を確保した段階で、以下の8項目について優先順位を設定しながら伴走し、取り組んでいきます。

経営改善8項目

①売上向上
②損益改善
③貸借改善
④資金繰り
⑤銀行対応
⑥経理体制
⑦労務管理
⑧内部統制

事業再生のための経営計画書をまずは作成していきます。その中でありとあらゆる経営の内部要素を可視化していきます。外部環境についてはSWOT分析やPEST(EL)分析などの伝統的フレームワークを使い、根本的な課題を抽出していきます。

何が問題で営業キャッシュフローがマイナスになっているのか要因を徹底的に究明し、解決までのアクションプランを設定していくというフローで進みます。

「民事再生」という手段があると考えられる方もおられるでしょうが、もし再生計画が叶わなかった場合、即破産という片道切符的要素があるので安易な選択はおススメできません。

一概には言えませんが、弁護士さんへ相談すると「破産」を勧められることが多くあります。法律家ゆえに、よくも悪くも「ハッキリ」している側面があると感じます。実際、万策尽きるまで経営改善を図りたいのがたいていの経営者でしょうから、本当に破産は最後の最後の手段と考えて差し支えないと思います。

再生と言っても色んな方式があます。再生協議会の利用などがよくあると思います。以前は債務カットまで持っていけたことが多かったのですが、現在は借入のリスケまでにとどまっている場合が多いです。

一時、第二会社方式での再生も流行りましたが、BKからの訴訟によりうまくいかないケースが多く、昨今はあまり見られません。

結局何が言いたいのかと言いますと

「中小企業においては取引金融機関による支援の無い事業再生はあり得ない」

という原理原則です。

結局、一蓮托生、運命共同体的繋がりのある、取引金融機関に内情を正直に相談した上での、再生計画の策定に準じて、「事業再生」を進めていくことが王道です。

苦境に立った場合、粉飾をしてしまった企業も少なからずあると考えられます。この場合も正直に取引金融機関に経緯を説明することから再生の一歩目が始まります。

まとめ

現在の日本はコロナ融資により、企業経営の健全性が見えづらくなっています。「ゆでガエル」になる前に、現実を直視し、経営改善に真摯に全力で取り組む企業経営者が増えることを願っています。

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今回もお読みいただきありがとうございました。

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中村徳秀

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