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88【会社の体力を知る簡単な方法】地方在住経営コンサルタントの思索

写真はJR岡山駅前大通り(桃太郎大通り)の風景です。

はじめに


タイトルを見て、「そんなの貸借対照表の右下を見ればすぐわかるじゃん!」という声が聞こえてきそうです。

おっしゃるとおりです。でも実は奥は深いんですよ。

今回はちょっとだけ奥が深い「純資産額」がテーマです。

「体力」を定義します

今回は財務的体力のこと。一体いくらの純資産をもっているのか?ということと定義します。
ご存知の方もおられるとは思いますがここで一つ大きな盲点があります。それは、、、

決算書は簿価と時価が混じっている!

という点です。

これで決算書と実態にずれが発生しています。

このとても大事な盲点は銀行などの金融機関は「貸したお金が本当に戻ってくるのか?」という点が最大の関心事です。なので、決算毎に、ちゃーんと、時価に洗い替えして、更に勘定科目によっては、一定の掛け目をかけてシビアに負荷をかけて、

「本当の価値はいくらなんだ?」

という視点で、舐めまわすような視点で品定めしているのです。

ご存知でしたか?で、めちゃくちゃ簡潔にばくっといえば以下の2つのパターンで評価されています。

純資産額①存続価値(事業存続バージョン)

色んな言い方がありますが、この存続価値と言ったり、継続B/Sと呼ぶこともあったりします。

要は、事業継続に差しさわり無い、ものを現金化した上で、在庫、投資有価証券、ゴルフ会員権、リゾート会員権、土地、建物、投資有価証券などなど、時価に置き換えられるものを算定し直し、現実的な純資産額を算定します。

純資産額②清算価値(事業たたむバージョン)

こちらも様々な言い方があり、清算価値と言ったり、清算B/Sと読んだりします。

どちらかと言えば、こちらの方がシンプルに。「今、この会社をたたんだらいくら残るのか?」という視点で計算される純資産額です。製造業であれば、生産設備を簿価の6割~5割で算定したり、土地と建物を時価評価し、建物が使用継続困難な場合や、売却できそうにない立地であれば、建物解体費用までも織り込んで計算するなどのルールがあります。

この本当の純資産がプラスかどうかは、シビアに毎年試算すると、経営者個人からの資金投入が必要なのかどうなのかも判明します。ある意味、単年の業績よりも今までの経営の積み重ねが貸借対照表にあらわれます

ちょっと厳しい言い方ですが、業歴が長いのに時価ベースの純資産がマイナス。つまり実態的債務超過の場合は経営者の責任が問われます。

格言めいたように五七五で言えば

「経営者 努力の結晶 純資産」

みたいなイメージです。

実態的な債務超過を「恥」と思っていない経営者は意外と多いのがこの国の中小零細企業の実態です。

個人保証を取らない方向性の時流であるので、尚の事、経営者は自社を財務的に良いものにしなければ、経営責任を果たしているとは言えないのではないでしょうか?

個人保証も差し入れず、会社は債務超過。これがまかり通るのはモラル上明らかによろしくないですよね、、、。

純資産・現預金・借入金のトライアングル


今回のブログでお伝えしたかったことは、今までも何回も申し上げて参りましたが、純資産と借入と現預金の3要素はきちんとウォッチし続けていないと経営者の責任を果たせないということです。

いろんな考え方はありますが、シンプルに考えるならば、経営戦略を決め、戦術をPDCAサイクルで回し、俯瞰的にこの3要素の現状とバランスと発展具合を見続けることが経営者の仕事です。

もちろん答えは、現場にある、は事実です。現場をないがしろにしてはいけません。しかし、経営者の仕事は何たるかという軸がないと、「ただ現場の業務がスタッフより優秀な人」のままでは企業は成長しません。維持することも大変でしょう。

本当の純資産を見るための財務的な物差しを自分なりに身に着け、自社を発展させていってください。

ぶっちゃけ、何かちょっとしたイレギュラーが連続すると、吹けば飛ぶ定めにあるのが年商10億円規模までの中小、零細企業です。

外部環境がひたすら厳しくなっていくであろうこれからは、尚更その傾向が色濃くなっていくでしょう。

冷静に自社の財務的体力を最低1年に一度見直し、毎月の現金推移(究極は毎日)に目配せをすることも経営者の大切な仕事です。

「経営者と取引先のお付き合い」だけが重要な仕事ではありませんよ。笑

説教じみてすみません。

1社実質的に倒産させてしまった私からのメッセージです。

まとめ

・事業継続と事業清算の2パターンで自社を時価で評価し直すことが大切。

・年商10億円規模までの中小、零細企業においては特に、経営者の努力が純資産額に表れる。

・純資産額、現預金、借入金の3要素の現状とバランスは常にウォッチし続けることも経営者の重要な役割。
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今回もお読みいただきありがとうございました。

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株式会社なかむらコンサルタンツ

代表取締役 中村徳秀

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