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103【事業再生・3つのリストラとは?】地方在住経営コンサルタントの思索

写真は岡山駅前のシンボルである噴水です。岡山県民にとって、以前は待ち合わせ場所のメッカでした。取り壊し計画があり、寂しい限りです。
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はじめに


これから不況の時代と言われており、否が応でも事業再生フェーズの企業は増えてくるでしょう。

しかし、「リストラ」と聞くと、ネガティブなイメージが湧きませんか?

実は「リストラ」とは必ずしもマイナスな意味ではないという側面があります。事業再生フェーズにない正常な経営を続けていく企業にも、「リストラ」は大切ですし、企業の改善の中で実は行っていたということがあるはずです。

元来、リストラ=リストラクチャリング であり、「(前向きな)再構築・構造改革」という意味合いです。

今回は少し、視点を上げて、概念的な部分もありますが、「リストラ」の意味を正しく捉えていただければと思い書きます。

例えば、今自らが経営改善の施策に取り組んでいる場合、「どのリストラのどの部分に取り組んでいるのか?」という全体像から目の前の施策が何に位置するか?が分かるはずです。

苦境にある、企業経営者の方のみならず、通常の経営状態の経営者や事業主の方々にも読んでいただきたい内容です。

3つのリストラ

繰り返しになりますが、苦境に陥っている企業は言うに及ばず、通常運航の企業にもリストラは必要なケースも大いにあります。弊社は財務コンサルティングが軸ですので、3期分の決算書類や金融機関返済予定表などの書類から現状、実態の分析を行い、経営計画の策定、処々の資金繰り改善施策を実行していくという流れが王道です。なので、必然的に財務リストラが当初、実行していく施策となることが多いと言えます。

リストラは以下の3点です。実はわりとシンプルです。

1.財務リストラ


①資産リストラ
➡遊休不動産、有価証券の売却。貯蓄性保険の解約。不良在庫の処分・現金化。売掛金や手形の流動化等。
②負債リストラ
➡有利子負債の圧縮による支払利息の軽減。広義の意味では借入再編も該当する。代表事例はDES(債務と資本の交換)。
③資本リストラ
➡DESも該当するが、減資も意味合いとしては該当する。繰越欠損金を無くす代わりに、資本金を減少させ、利益配当を出しやすくするケース。(年商10億円規模までの中小、零細企業においては稀ではある。)

2.業務リストラ


①売上の向上
➡年商10億円規模までの中小、零細企業においては自然体の案件積上げ型の経営が多いため、マーケティング戦略・ブランド戦略・顧客管理に真摯に取り組むことで思わぬ効果が見込めるケースもある。社外リソースと社内リソースの結合から発生する「オープンイノベーション」の概念も近年注目されている。
②売上原価の圧縮
➡仕入れ価格の見直しや、製造工程の合理化、工事原価管理など、「言うは易く行うは難し。」ではあるが、真剣に取り組めば一定の効果が必ず見込める。
③経費の節減
➡販管費の合理化ができていない場合が多い。役員報酬の削減、人材の客観的な見直し、合理化、業務システムの見直し。自社の意思で取り組める、事業所の統廃合、本社(本部)の縮小、家賃値下げ交渉。損金性の高い保険の見直し、接待交際費、通信費など

3.事業リストラ

①4つの利益で事業を評価する。(事業評価の切り口)
・限界利益
・管理可能利益
・事業部利益(貢献利益)
・全社純利益
②事業整理10のチェック項目(判断軸)
・収益性
・成長性
・安全性
・市場でのポジショニング
・価格競争力
・商品、製品
・技術
・他の事業との関連性
・シナジー効果への影響
・事業縮小、撤退の清算価値

顧問先企業の事例から学ぶ点

程度の差こそあれ、コンサルテーションを実施している顧問先は財務リストラ以外のリストラも適宜実施していただいてきました。

特に印象的なことは、事業リストラです。これは効果てき面となる可能性は大いにあります。

どうしても一般的に創業経営者は、行動力と好奇心が旺盛で、本業に加えて新事業へ挑戦することが多くあります。(過去の私もそうでした・・・。)

コンサルテーションを実施させていただいた企業で、事業リストラの断行を行った企業が2社ありますが、その企業が想像以上にV字回復を遂げました。

経営者の本業に集中する意識はスタッフ、従業員へ想像を超えてプラスの波及効果があります。

創業経営者はえてしてスーパー営業マンです。そして、仕事を受注してくるチカラと、社内の施策への切れ味が鋭くなるということも充分に考えられます。

実は優秀で器用がゆえに、身の丈以上の事業に取り組んでしまっているケースは頻繁にあります。当初、順調であっても、FC事業も、ゼロから見よう見まねで作り上げていく事業も、後発の弱者という立場から市場においての強者に上り詰めていくことは並大抵のことではありません。そして何よりも、現場を回していくのはスタッフであり、組織です。優秀な経営者が本業以外の現場に張り付いて、細かいPDCAサイクルを回し続けることは、一時的に可能であっても継続的には困難です。

やはり王道は、特に創業経営者は、置かれたエリアにおいて一点突破の戦略をもってして、一つの事業に集中し、ニッチな市場で小さな勝利を重ねて、狭いエリアと小さな隙間市場にといてのトップシェアをまずは目指していくという考え方が全国どの地方においても王道であると感じずにはいられません。

そして、弊社では、前回ブログでも書いた、「債務者格付」を出すノウハウがあります。ここで、客観的な自社の財務状況の実態を把握した上で、資金繰りを改善すべく行う「借入再編」や「資産売却」を中心とした財務リストラを実行することで、1年以内に要注意先から正常先へと転換したケースもあります。

力が分散してしまっている企業は「事業リストラ」+「財務リストラ」の組み合わせで劇的に財務的な健康状態が回復することは、事業構造がシンプルな年商10億円規模までの中小、零細企業においては頻繁に起こり得るケースであると言えます。

まとめ

・リストラは苦境に陥った企業のみならず、通常運航の企業にも実行できる。

・リストラは財務、業務、事業の3つの観点で捉えると全体像が掴みやすい。

・年商10億円規模までの中小、零細企業で複数事業を有しているケースでは、有望な本業に集中することがうまくいくケースが一般的。財務リストラ+事業リストラは効果てき面。

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今回もお読みいただきありがとうございました。

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株式会社なかむらコンサルタンツ

代表取締役 中村徳秀

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