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㊻【個人所有資産の一覧が武器になる。】地方在住の経営コンサルが地方在住の経営者のために書くブログ。

写真は倉敷市の日差山です。1300年以上、毘沙門天の信仰が当地で続いています。

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テーマはより良い銀行取引

前回、前々回と銀行取引において行われる財務格付作業について書きました。実態のB/Sについても説明しました。様々な角度から企業の実態把握は実施されるのですが、「その企業の奥の奥。」に存在する強さ。つまり、オーナー経営者一族の個人資産まで評価できればこそ、限りなく極限に近い企業実態把握を行えるという事実を知っていただきたいと思います。

円滑な対銀行取引についての一助になればと思い、今回のブログを書きます。

法人個人一体という考え方

対銀行への個人資産開示は自社の業況が赤字の場合ならば尚更、力を発揮してくれます。中小企業の場合、法人と個人を実質同一とみなして融資条件を設定していることがほとんどのケースだからです。

少し大袈裟かも知れませんが以前述べた、中小企業経営においての三種の神器は、

1.経営計画書

2.資金繰り予定表

3.月次の試算表(決算書)

です。これはPDCAサイクルを構築し、何度も回していく上で必須のツールですね。

➡3について説明します。月次の試算表は付属明細の付の決算書に代わるものであり、要は12か月の試算表の累計が決算書になります。その決算書の付属明細一式においても経営者+経営者の親族の不動産をはじめとした個人所有資産は取引銀行でさえ正確にその全容を把握することは困難です。取引銀行は、「この融資の返済能力はあるのか」を最優先に考えているので、この一覧表は取引を優位に運んでいく上でかなり効き目のある武器となります。ぜひ作成することをおススメします。取引銀行側として、もちろん業績が上向いて欲しい、成長してほしいという想いはありますが、融資の返済ができるどうかという視点がベースになっています。もう少しだけ踏み込んで、正確に銀行側の本音を言えば「いつでも返してくれるくらいの財務状況であってもらいたいけど、ウチからの融資は完済せず借り続けて欲しい。」というなんとも複雑な心情です。そしてレアなケースかも知れませんが確実に存在するのが「ウチと取引できるサイズ感の事業規模のままでいてほしい。」というバイアスもかかっていることがあります。信組、信金、第二地銀さんまでのお取引だとあり得ます...笑。たとえ経営計画書が土台にあったとしても、挑戦的過ぎるとみなされたプロジェクトに対する融資は渋られることがままあります。しかしながら、銀行というのは不思議なもので、もはや死語になりましたが、かつての護送船団方式と揶揄された横並び主義の文化が根強く残っているのか、前向きな局面で言えば「シンジケートローン」「保証協会を絡めた協調融資」などの取引行同士の足並みを揃える姿勢にみられ、業況が後ろ向きな場面での「リスケ」の場合などは銀行団としての交渉となるなど、話し合って、皆に不利益が無いようにしようという日本人的姿勢が取引の慣習に色濃く残っているのは実に興味深いことです。

自社の資料を経営者が作成すればこその説得力

以下、個人資産以外に作成すると良い一覧表です。

・融資取引条件の一覧

・法人所有不動産の一覧(時価評価を加えて)

・法人所有投資有価証券の一覧(時価評価を加えて)

などがあげられます。

この作業をしていくことで経営者は往々にしてわかっているようでわかっていないことが多い、「自社の実態」や強み弱みを掴むことができます。

全ての経営プロセスの情報開示に抵抗感がある経営者の方は、A3一枚に経営計画概略として今後3期の予想P/Lと予想B/S、重点施策と経営方針。そして上記の一覧を記載し、決算説明の際に手交することでも十分と考えられます。いわば簡易経営方針レポートです。年商10億円以下の中小企業の場合は特にです。

王道は銀行への月イチ訪問ルーティン化

数時間かけて会社の一体感を出すべく、親密取引先や金融機関各社を呼んで、経営方針発表会を行うのも有効ですが、取引金融機関へ決算説明と、2か月に1回ないし、1か月に1回の試算表と資金繰り実績と予定表を携えて、取引銀行の融資の上席や、支店長とお茶を飲むスタイルも十分有効です。むしろ接点の頻度が増えて商機が増えるので良いと考えられます。特に地方都市や中山間地域で商いを行っている方々はベストスタイルの一つと考えられます。というのも、ほぼ毎月金融機関の幹部と面談してれば、タイムリーな金融情報のみならず、ビジネスに関連する情報を得られるチャンスが段違いに増加します。商売のセンスありあり系の支店長であれば、ガンガンビジネスマッチングをしてくれたりします。そして、たいていの場合、銀行の紹介先に変な先や、信用不安のある先は少なく、与信管理の前捌きまでしてくれているというメリットもあったりします。

まとめ

・銀行取引も、人間関係も本質は同じ。

・悩みや、自分の本当の姿を自己開示した分だけ、相手も応えてくれる。

・金融機関の取引をただのお金の取引というドライなものではなく、もっと想いや熱のこもったものにするには経営者のはたらきかけの姿勢次第。

・経営者は精度の高い企業実態把握が可能になれば、経営計画の戦略に従ってより有効な施策である戦術を繰り出していけるようになる。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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中村徳秀

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